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”キャンパスライフ”を知る最後の世代

わたしはこの春に大学を卒業して、社会人になりました。わたしが大学に入学したのは2019年の春。わたしたちの世代はきっと「コロナ禍によって大学生活を奪われた」という印象が強く、コロナ前とのギャップに苦しんだ世代だと思っています。卒業式でも「1年生のころ(=2019年)みたいにたくさん会いたかったよね」という話題になりました。1年生のころに対面での関係構築をしてしまったからこそ、そして、”キャンパスライフ”の楽しさを知ってしまったからこそ出る言葉だったように思います。

入学したての頃のわたしは、「Zoom」なんて言葉も知らなかったし、「オンライン飲み会」なんて文化もありませんでした。講義といえば対面で受けるのが当たり前だし、リアクションペーパーも手書きで提出していました。レジュメは配られるものでしたし、ノートをパソコンテイクする人はレアキャラでした。
サークルに入ると合宿やイベントが盛りだくさんでした。兼サーしていたわたしはお金にとても苦しみました。でもそれがすごく楽しかったし、運営をしてくれている先輩や、場を盛り上げようとしてくれている先輩がとてもかっこよく見えていました。わたしもああいうふうになれるのかな、なりたいなと思っていました。

2020年の2月ごろ、状況が一変しました。当たり前だと思っていた生活が奪われました。楽しみにしていた実習系の授業は中止になったし、サークルは活動中止でした。対面で準備していたNPOの新歓はすべてオンラインに切り替えることになりました。まあでもすぐ終わるかな、笑い話にできるかなと思っていました。
でも、活動中止にされた期間は決して「すぐ」と呼べる期間ではありませんでした。社会もまた「若者が外に出て遊ぶ」ことを許してくれませんでした。
そして、わたしがなりたいなと思っていた先輩像は実現が難しくなりました。イベントなんて何もできなくなったから。
そのころ「#大学生の日常も大事だ」というハッシュタグがちょっとだけ流行したことを覚えています。
2021年の春、ちょっとだけ制限が緩和されて大学に行けるようになりました。それでも制限された生活でした。そして、少しずつ、少しずつ、いろいろな条件が緩和されていきました。

わたしたちは「”キャンパスライフ”を知っている最後の世代」になりました。イベントを復活させるならこの代がいるうちに、といわれたことがある気がします。わたしたちはただ参加者としてイベントに参加していただけなのに、それでもそれを見たという経験がなぜか重宝されました。
2022年、対面のいろいろなイベントが復活しました。でも、それは復活ではなくて、生まれ変わりでした。継承されるはずだったものがされず、新しいものをゼロからつくっているような、そんな感覚でした。
そして、気づいたらあの頃の”キャンパスライフ”はなくなっていました。”キャンパスライフ”の構成員が変わりすぎたし、取り巻く環境が大きく違っていました。コロナ禍によって生まれた何かがこれまでの”キャンパスライフ”を変化させていました。

今大学生のみなさんが送っている日常は彼らにとってのキャンパスライフです。ただそれはきっと世間の大人が思い描く”キャンパスライフ”とは違うかもしれません。
だって、”キャンパスライフ”は変化を余儀なくされすぎたから。

#いまコロナ禍の大学生は語る

この文章は、「#いまコロナ禍の大学生は語る」企画に参加しています。
この企画は、2020年4月から2023年3月の間に大学生生活を経験した人びとが、「私にとっての『コロナ時代』と『大学生時代』」というテーマで自由に文章を書くものです。
企画詳細はこちら:https://note.com/gate_blue/n/n5133f739e708
あるいは、https://docs.google.com/document/d/1KVj7pA6xdy3dbi0XrLqfuxvezWXPg72DGNrzBqwZmWI/edit
ぜひ、皆さまもnoteをお寄せください。

また、これらの文章をもとにしたオンラインイベントも5月21日(日)に開催予定です。
イベント詳細はtwitterアカウント( @st_of_covid をご確認ください )
ご都合のつく方は、ぜひご参加ください。



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