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追体験型チャイ

最近チャイ作りにはまっている。

毎日のように我が家の台所で、スパイスの分量を微妙に変えたり、火にかける時間を変えたりと実験を繰り返しながら、今日もじっくりコトコトとチャイを煮詰めている。


「おいしいチャイがつくりたい!!」と意気込んだのは2ヵ月前のこと。

もともと旅が大好きで、インドやネパール、スリランカに長期滞在したことがある。その旅行中に各地で飲んだチャイの味が忘れらなかった。
国や地域、お店ごとにまったく違うチャイの味。あんなにも衛生環境が悪いところで、あんなにも適当に作ってるいるチャイがとびきりおいしかったりする。そして何より、チャイを手渡してくれる現地の人たちの笑顔がとても素敵なのだ。ついついつられて笑顔になる。

海外で飲んだチャイとその時の笑顔が忘れられず、いつか自分もおいしいチャイと素敵な笑顔を提供できる人になりたいと思った。

そんな熱い気持ちでえさも、日本に帰ってくると、本当になぜだか分からないんだけれど、急に見えなくなるほどしぼんでしまう。まるでテスト期間に勉強していた図書館で普段気にもとめない分野の本にどはまりして勉強が進まないけれど、試験が終わると興味が無になる、あの感じと一緒だ。海外のあの環境で生まれた気持ちだったからこそ、とても熱く灯った明かりだったのだろうなぁと遠い目をしながら日本で過ごしていた。

そして2ヵ月前。自分がこれからやりたいことは何なんだろうなぁと思い詰めて、スキルとやりたいことの棚卸しをしたんだけど、そこで見つけたやりたいことの中に「チャイ作り」が含まれた。自分でも正直びっくりした。今こんなところで出てくるとは。でもこの気づきに正直になりたいと思って、すぐさま自分が尊敬しているチャイ作りのプロである高校の同級生にお願いをし、作り方を伝授してもらうことに。この大切な想いが消えて無くなってしまう前にカタチにしたかった。

チャイ作り合宿を経て、1人で自宅でチャイを作ることができるようになり、飽きもせず毎日のようにチャイを作る工程が生活に組み込まれた。まだまだペーペーな自分は、もっとおいしいチャイを求めて作り方を微妙に変えては一喜一憂する。もともと大学で研究をしていた自分にとって、この作業は苦ではなく、むしろ追求すること自体がとてもたのしい。作ったチャイを飲みきるまえに、次にチャイを作りたくなってしまう。今はスパイスを安く仕入れることのできるお店を模索中。

過去に「おいしい」と感じたときの記憶は、一生忘れることのない思い出となって人生をついて回る。私が自宅でつくったチャイを飲むときは決まってインドの光景が目に浮かぶ。そしてたのしい感情が湧き上がる。その追体験を求めて、今日もチャイを作っている。


おいしいはたのしい。




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