アンカリング効果に騙されるな


3万円の商品が今なら3千円ですよ!」


アンカリング効果と言う。
最初にボッタクリの金額を基準にして、その後に安い金額を提示して顧客にお得感を与える。アパレルでよく見る手法で、しばしば詐欺師も活用する。


不動産もアンカリング効果だらけ。
不動産サイトに載っているのはただの言い値で、値下げを見越してもともと吹っ掛けた金額を付ける。


新規参入の素人がよく「
1000万円を700万円に指値(値下げ)した」と歓喜の声を上げているが、売買成立したということは、売り主はその価格でも儲かってる。もともと700万円で売るつもりだったのだ。


売り手が勝手に付けた、ボッタクリの金額を基準にしてはいけない。基準は相場を鑑みながら、あくまでも自分の中に求めなければならない。


本当は100万円支払わなければいけないのに、今ならたった6000円でいいんだよ!


こんなことは普通ありえない。
ちゃんと計算した値付けならできるハズない。
勝手に付けた100万円の根拠がないどころか、6000円の価値すらないってことだ。

まず100円、次に500円、1500円、6000円、1万円。。。まずは少額から徐々に価格を釣り上げていくのも含めて、まさに詐欺師のやり口。


ボッタクリ価格かどうか判断する理由として、原価を見るのもひとつの手だ。少し古い記憶だが、以前、様々な原価を調べたことがある。


  • 牛丼並盛り430円 原価率50%

  • 宅配ピザMサイズ1500円 原価率10%

  • 1万円スーツ 原価率10%

  • 豚骨ラーメン 原価率35%


『原価厨』と呼ばれる原価率に執着した人種がいる。「回転寿司は原価率の高いマグロしか食べない。これが最もお得だ」とか言っちゃうケチケチした人種。


この人らにしたら「1500円のピザの原価が150円!?ボッタクリだ!」となるが、そうじゃない。宅配ピザを130分で配達すると仮定すると、バイトの30分の給与、600円が1枚のピザに乗っかる。750円。それだけで原価率は50%となる。


多くの飲食店は原価30%、人件費30%、家賃光熱費30%、利益10%に落ち着く。1700円のラーメンの粗利は70円ほど。


200杯売ってようやく14000円の粗利。そこから税金を引かれる。「飲食店は儲からない」の意味が理解できるかと思う。


サービスの提供にどのくらい費用が掛かるのか、ざっと計算してみればよい。そして自分への恩恵と費用を天秤にかけ、損なら辞めればよい。


ある霊感商法をやってる夫婦がいた。
信者に毎月、9000円を支払わせたいようだ。
信者にはパワーを与えていると言うが、何をどう計算しても9000円はボッタクリだ。


なぜ9000円なのか。


夫婦は生活費として、40万円の定期収入が欲しかった。雑費が5万円/月ほど入ってくるから、残りは35万円。ほぼ確実に支払ってくれる信者が40人はいる。


40✕9000=36万円
36万円+雑費5万円=41万円


目標金額に合わせて信者が50人なら7000円、60人なら6000円となっていた。先に目標金額があるんだから、9000円に根拠なんかあるはずがない。


時間も原価も初期投資も掛かってない。金額なんか適当に決まってる。だからこそ「100万円が今なら6000円で受けられるよ」なんて言える。


パワーなんて与えられるわけないんだから、もちろん信者は減っていく。1万円、1.1万円と増加していくのは当然の帰結。


教祖の能力を少しでも疑っているのなら一度、辞めてみれば良い。驚くほど日常は変わらないハズだ。不幸が続き「やっぱパワー与えてもらわないとダメだわ」となったら戻ればいい。拠り所が必要なこともあるが、それはプラセボ効果という心理的なものでしかない。


一度、辞めたことをグチグチ言われるようなら、その教祖は自分のことしか考えてない。「戻ってくれた」ことに感謝するのではなく、「離れたこと」を重視している。愛のない人間だと断定できる。


霊感商法はいつだって、判断力を鈍らせて金銭を奪う。必要か不必要かしっかり判断して、必要なら支払えばいい。この世に「無いとダメなもの」なんてそうありはしない。

いなきゃダメな人も存在しない。
スティーブ・ジョブズがいなくても
AppleiPhoneを作り続けてるし、松下幸之助がいなくてもパナソニックは経営を続けている。

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