浮気者の苦悩
私はいろんな人たちの音楽を聴く。音楽をよく聴く人の中ではまだ全然知らない方かもしれないが、新しい音楽に出会いたいという欲求はものすごく強いし、日々手を広げまくっているとは思う。
その状態を望んでいるからいろいろ聴いているわけだし実際楽しいのだが、困ることもたまにある。
今回は、そんな「困ること」にフォーカスして語ってみたい。
これが人間だったら誰からも信用されなくなっているだろうし、こんな記事を書いている場合でもないだろう。相手が音楽でよかった。本当に。
「何が好きなの?」に答えづらい
「好きなアーティストは?」「好きな音楽は?」
私はこの質問が来ると身構えてしまう。
たとえば、たびたび語っているように私は Mr.Children が大好きである。
しかし、ある程度私の嗜好を知っているであろう人にしか「Mr.Children が好き」と話したことはない。
理由は大きく 2 つある。
まず、「私にはこのアーティストを好きだと語る資格があるだろうか?」と考えてしまうのだ。
有名なアーティストほど、何十年も一途に応援してきたファンや、楽曲を熱心に分析して語るファンはたくさんいる。年数は短いし一筋ではなくても私はファンだ、と言ってはみるものの、いろいろな音楽を聴く中で俯瞰的な目で応援するようになってしまった自分を感じる瞬間は多い。
「この人たちの音楽が生き甲斐なんです」と語る人を前にすれば、今の未熟な私には「素敵だね」と微笑むくらいしかできないだろう。
そして 2 つ目の理由としては、「好きな音楽/アーティストは?」という質問には、回答からその人のプロフィールを把握しようという意図が少なからずあると思うのだ。これがなかなか難しい。
たとえば私の場合は、「クラブミュージックも洋楽もアジアのインディーポップも日本の有名バンドの曲も若手ミュージシャンの曲も幅広く聴き、隙あらばライブに行く音楽好き」みたいなプロフィールを共有したい。できる限り詳細な方が、「好きな音楽/アーティスト」という項目に関する私のプロフィールは誤解のないものになるからだ。しかし、「Mr.Children とかが好きです」の一言でそこまで想像してもらうのはさすがに無理な話だ。かといって、好きなアーティストの名前を列挙するにも限度があるし、「いろいろ聴きます」では情報として価値がない。
以上 2 つが主な理由であるが、「自分が好きなアーティストを相手がどこまで知っているかわからない」というのも理由のひとつだろう。ライブハウスが身近な存在になると感覚が麻痺してしまうが、音楽をあまり聴かない人は The Songbards や Helsinki Lambda Club にはよほどのことがない限り出会わないし、andymori のことも知らない。
試行錯誤の末、「いろいろ聴きます」 & ある程度有名なアーティスト名やジャンル名列挙のハイブリッド型に落ち着いた。相手の好みがわかっている場合は、相手が気に入ってくれそうなものを答えるようにもしている。おすすめのアーティストや曲を聞かれたときは、なおさら相手の好みが重要な情報になる。
そういえば、楽器屋さんでポニーを買ったときも「普段何聴くんですか?」と聞かれたら、そのときは割とすんなり「UK ロックとかが多いです」と答えられた。真っ先にコピーしたいのがビートルズだと決まっていたからだ。やはり、ある程度の縛りがあった方がこの質問には答えやすいらしい。
情報を追うのが大変
ライブ開催、新作リリース、映画上映、新コンテンツ開始、インタビュー掲載、……ミュージシャンたちのお知らせは多岐にわたる。
私は、自分の X や Instagram のアカウントで好きなアーティストをフォローして情報をチェックしている。ライブのお知らせが来たらすぐチケットを買うようなバンドから、なかなかライブには行けなさそうな海外のミュージシャンまで、とにかくあらゆる人たちを。
そんなわけで、私の SNS のホーム画面はいつもお祭り状態だ。いつも誰かしらはライブのお知らせをしているし、誰かしらは新曲を出している。
当然、情報を追うのが大変である。もはや追えていないとも言う。
Galileo Galilei の映画の情報をまだチェックできていない。サム・スミスの来日公演はなんとか追加公演に滑り込んだが、ビリー・ジョエルは完全に出遅れた。タワーレコードの棚を見て初めてロレイン・ジェームスが新アルバムをリリースしていたことを知った。
この問題はどうすれば良いのかといえば、まあ、私自身がちゃんと情報を管理するか、優先順位をつけるしかないだろう。
ライブ日程が被る
とにかく被る。びっくりするくらい被る。A と B を天秤にかけて悩んだ末に片方のライブを申し込んだり、あるライブのチケットを買った後に同日の別のライブが発表されて頭を抱えたりした例が 10 月に入ってからも 2 つ起こっている。
「この人たちは日程被らないようになんか協定結んで!」なんて無茶なお願いをしたいくらいだ。
被るまではいかずとも、日程が集中することはよくある。
ライブに行き始めの頃は、週 1 で予定が入るだけでも結構びっくりしていたのだが、最近は 2 日連続くらいならたまに起こるようになった。
最近では、夜行バスで大阪のライブに行く→その日に夜行バスで帰る→帰った日に横浜のライブに行く、という個人的にはなかなかスパルタなスケジュールが誕生した。
外やバスの車内が寒すぎて、意外と乗り切れたじゃん? と思った数日後にちゃんと皺寄せが来たので(無事復活して今これを書いている)、往路・復路のどちらかは新幹線にすべきだったと反省しているところである。
おわりに
マイナスなことをいろいろ書いてしまったが、私自身はいろいろな音楽を聴くことはすごく良いことだと感じているし、これからも続けていきたいと思っている。
プラス面のこともまたいつか書こうと思う。同志の皆さんは、それまでどうか浮気者を卒業しないでもらえると嬉しい。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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