見出し画像

Blitz解説 ~ ①Punish the Danish

こんにちは、ぽんとです。
チェス的な創作活動再開、ということで、まずはハードルの低いBlitzの棋譜解説から始めていきたいと思います。

あまり深くなりすぎず、かつココは大事!というポイントを押さえた、軽めの棋譜解説にしていきます。

私が黒番です。
棋譜の読み方がわからへん!という方は、以下のサイトがわかりやすいと思います。

1.e4 e5
最近は1.e4には1…e5で返しています。他の定跡と比較した時に、白と同等のセンターを主張できるのが長所ですね。d4やf4で早期にポーンがぶつかり合うことがあるため、そういった手順への準備が必要です。

2.d4 exd4 3.c3

ダニッシュギャンビット。決まれば恐ろしい白の攻め。


Danish Gambit(ダニッシュギャンビット)です。白はポーンを捨てて駒の展開を加速するつもりです。黒は3…dxc3で白の意図に付き合っても良いのですが、その後の白の主導権をいなすのが億劫になったので、今回は簡単に互角を達成できる手順を選択しました。

3…d5
この手が最も簡単に互角を達成できる手順だと思います。1.e4 e5系の定跡は、いかにして黒が不利にならない形で…d5を突くか、というのが1つのテーマなのですが、ここでは3手目にして…d5が可能です。

4.exd5 Qxd5 5.cxd4 Nc6
指し方は単純です。ナイトを展開しつつ、d4のポーンに圧力をかけます。

6.Nf3 Bg4

d4のポーンに圧力をかけます。


ピンをかけます。黒は駒の展開が簡単です。


7.Nc3 Bb4
さらにピンでNxd5を防ぎます。

8.Bd2?
つい指したくなる手ですが、悪手です。d2のビショップが邪魔で、クイーンがd4のポーンを守れなくなってしまうことが後に響きます。定跡手順は、8.Be2 Bxf3! 9.Bxf3 Qc4!と進みます。キューバの名プレーヤーで世界チャンピオンになったこともあるカパブランカが使用した手順で、ダニッシュギャンビットに対する定番の指し方となっています。

9…Qe6+!

黒の優勢を最大化する唯一の手。

最強手です。ナイトから逃れつつ、チェックで手を稼いでいます。黒が常に先手を取っていることに注目です。

10.Be2??
これは譲歩しすぎです。キングサイドにダブルポーンができる上にd4のポーンが落ちてしまい、希望がありません。
他にありうる手順としては以下ですが、
10.Qe2 Bxf3 11.Qxe6+ fxe6 12.gxf3 Nxd4
10.Be3 Nf6
どちらも黒が指しやすい局面となります。後者が実戦的にチャンスのある局面だと思いますが、Bd2からBe3で2手かけさせられるのが残念ポイントです。

10…Bxf3! 11.gxf3 Nxd4
黒がポーン得となりました。勝勢です。

12.Qa4+

白、起死回生の1手となるのか?


白はキングとビショップのフォークをかけてきました。黒は駒損になってしまうのでしょうか?私は妥協した考えで最善手を逃してしまいましたが、黒の次の手で最強の手は何か、考えてみてください。






まずは私が次に指した手。
12…c6
ベストムーブではありません。白のクイーンがb4のビショップを取れないことはわかっていたため、単純にチェックを止めればよし、その後に…Nxf3+もあるし、と妥協した考えを持ってしまいました。最強の手は、12…b5!です。

12…b5! 後の局面

ポーンがクイーンに当たっているため、白に選択を迫っている点で12…c6に勝ります。白はこのポーンを簡単に取って黒キングに迫れそうに見えるのですが、よく見るとそうではありません。ビショップではピンされているので取ることができず、ナイトは…Qxe2#とされないようにe2の地点を守る必要があり、ナイトが利いているためにクイーンで取ることはできません。つまり、白クイーンが逃げるしかない局面となります。といっても、白クイーンのまともな逃げ場は13.Qd1くらいしかなく、それには13…Nxf3+ 14.Kf1 Qh3#があり、結局負けとなります。b4のビショップを取る手がダメなのは、本譜の通りです。それでは本譜に戻りましょう。

13.Qxb4
白はビショップを取ることができましたが・・・

13…Nc2+ 0-1

この手があるため、白クイーンはb4のビショップを取ってはいけませんでした。

白リザイン。クイーンを取られてはどうしようもありません。こういったフォークパターンは他の定跡でもよく見かけますね。

白は序盤の9.Bd2、10.Be2、という立て続けのミスにより、序盤にして一気にどうしようもない局面へと落下してしまいました。1手先、相手が何を指してくるかを、独りよがりになることなく、客観的にきちんと読むことができていれば、こうはならなかったでしょう。9…Qe6+はチェックの手ですし、候補手として見つけること自体は難しくありません。恐らく、白の方は、9…Qe6+を含めた黒の返し手を考えようとすらしなかったがためにこうなっています。自分の手を指す前に、相手の1手先にまずい手がないかどうか、読んでおくようにしましょう。基礎基本ですが、Blitzにおいてもやはり大事です。

今回は以上となります。
3…d5はダニッシュギャンビットを本気で咎めようとする手順ではありませんが、黒の指し方がわかりやすく、手順を忘れてしまっても簡単に指しこなせるのが長所なので、レパートリーに加えておいても損はしないと思います。

お読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?