初めて、文章に苦情がきたときの話

最近なのかどうか知らないけれど、「インターネット老人会」という言葉がある。

当然、自分もその中に入るのだろうなぁ~。

まぁ、いいけどさ。

さて、そんな年代の私は、一時期異常に人気が出たメールマガジンを発行することにした。「まぐまぐ」である。

ちょいと調べたら、まだサービスやっているではないか。

うーーーむ、知らなかった。

インターネット始めた当初から、私は終始一貫して発信するなら「インコ関係」と思っていた。

インターネットのサービスが開始されて、鳥飼いが次々個人サイト立ち上げた。気持ちはよくわかる。

インターネットのサービスが始まる以前、鳥飼いは仲間を探すのが至難だった。

犬なら、散歩で仲間ができるし、犬猫なら動物病院で仲間を見つけることも可能だが、鳥はそうはいなかいのだ。

そもそも、鳥の散歩という概念がなかったし、動物病院で小鳥は診察の対象外というのがほとんどだったし。

本屋のペットコーナーの書籍は犬と猫でほぼぎっちりだったし。

とにかく、鳥の情報に飢えていて、かつ自分の持っているインコの知識をどこかにアウトプットしたくてジリジリしていた。

というわけで、インターネットによって鳥飼いは今まで貯めていたエネルギーをインターネット上の吐き出し始めた。

無論、自分もそうだ。

当時、インターネットに画像をアップすると重くなるので、気を使う時代だった。

しかし、かわいい自分ちの鳥を見せたくて皆、サイトを立ち上げている。

ペットサイトは写真が多くて重い(読み込みが遅い)サイトが多かった。なので、とびきり可愛い写真を撮る腕もない私は下手な写真を一切載せないで、文字だけでインコの可愛さを発信することで、サイトの特徴を出そうと思った。

「インコの読み物サイト」をうたい文句にした。

しかし、もともとインコ好きというのはマイナーな分野なうえ、写真がないのは正直地味であった感は否めない。

もうちょっとなんぞ宣伝したいと思っていたら、メールマガジンのサービスに目に飛び込んできた。

今のメールマガジンは、画像もたくさん貼れたりするのだろうことは容易に想像できる。しかし、サービスが始まったばかりのまぐまぐはそれこそ、読み物をメールで配信するサービスだった。

新規読者開拓にうってつけだと思った。画像で勝負することは最初から捨てていたから。

というわけで、ペット部門のメルマガはたくさんあったが、そこに「インコの読み物マガジン」を登録した。

マイナーなので、読者はそんなに増えなかったが、それでも登録者が100人を超えた。

内容は、インコにまつわる笑える話が多かった。

というか、それしか書けない。私は単なる鳥を飼っている一人の飼い主に過ぎないから、専門的な話なんぞ発信できるわけがないのだ。


いやぁ、前置きが長くなってごめん。

ここからが本題だ。

メールマガジンは面白くなければ、登録者が解除する。ゆえに登録人数が百人ほどのメルマガなので、解除されると面白くなかったのか、とわかるわけだ。

それでも解除より登録が上回っていて、たまに「面白い」という感想をくれる人もいて、すごく嬉しかった。

そんなある日、その苦情メールがきた。

「インコの情報を発信するというので、登録しました。役立つ情報が欲しかったのに、配信される内容は笑い話ばかりで、まったく役立ちません。

今度こそは、今度こそはと待っていましたが、堪忍の尾がきれました。

お笑いと言っても全く笑えないので、修行に出てください。

役立つ情報がないメールマガジンなぞ必要ありませんので、解除します」

という内容だったと思う。

それを読んだ時、私は確かにちょっと凹んだけれど、毎回内容を読んでくれていたことには感謝した。

読んでくれた感想だから、有難いと思った。ので、返信した。

「読んでくださってありがとうございます。ご期待に沿えず、申し訳ありませんでした。

鳥の専門家ではないので、専門的な情報を書けません。

そういうわけで「楽しいインコの読み物メルマガ」ということで発行しています。

ご意見は真摯に受け止めつつ、一方で「面白いので楽しみにしている」という登録者の方がいるのも事実です。

あなた様の要望に応えられず、申し訳ない気持ちでいますが、面白いので楽しみにしているという方がいるので、これからもメルマガは続けていこうと思います。

今まで、求めていた情報がないのに読んでくださっていたことに感謝します。ありがとうございました」

苦情用にわざわざメルアド取得して、苦情を言ってくれるのだから、有難いことだ、としみじみ思った。

この苦情メールがきたことで、まぐまぐの自分のメルマガの紹介に「専門的な情報が入っていないことを了承のうえ登録お願いします」という一文を付け加えることができた。

返信メールをした後で、マガジンの登録者が一人減った。たぶん、苦情メールくれた人なのだと思った。

家族にメルマガでこんな苦情来て、わざわざ苦情くれてありがとうと返信したんだ、と言ったら

「そんな返信をする方が怖い」

と言う。

「読者の意向に沿わないのに、ずっと読んでくれて、堪忍袋の緒がきれて苦情書いてくれたのだから、有難いと心底思って、返信しただけだよ?」

「いや、怖い。苦情メール書いた人も怖いと思ったと思う」

そ、そうなのか?

見解の相違ってだけの話だし、私は今でも、自分が相手を怖がらせたという家族の指摘に納得がいっていない。

誰か、わかるひとがいたら教えてください。

読んでくれた感想なのだから、ありがとうーって返事するのは悪いの??

さて、そんなことがあった後、私はメルマガでインコの物語の連載を開始した。

連載という形は、下手な文章でも展開が気になって読者の期待値が上がることを体感した。

最終回の前と最終回を書いたメルマガへの反応は凄かった。だって百何十人しか登録されていないのに、十通ほど感想がきたのだ。嬉しかったし、ちょっとばかり自慢したくなるのが、人間でしょ。


メルマガで連載した後、何度か書き直したインコのお話がこれです。

苦情メールくれた人は読んでいないのだけれど、もし読んでいたらどんな苦情くれるのか、今になると気になるなぁ。

良かったら読んでみてね(という宣伝)w 

「目が覚めたら飼われインコになっていた(泣)」

https://www.alphapolis.co.jp/novel/356589816/133296148




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?