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ロバータ・フラック「やさしく歌って」

Roberta Flack “Killing me softly with his song”
(ロバータ・フラック「やさしく歌って」)

”Strumming my pain with his fingers
Singing my life with his words
Killing me softly with his song
Killing me softly with his song
Telling my whole life with his words
Killing me softly with his song”

人を勇気づけるような言葉、明るくてポジティブな言葉は、人の救いになることがある。
だけど、そんな言葉だけが人を救うわけではない。
ロバータ・フラックが歌う「やさしく歌って」のように、自分の心情を映し出したかのような悲しい歌が、人を救うことだってあるのだ。
いや、明るい表現は特に苦しんでいる人の感情を置き去りにする時だってある。
そんな時、自分の人生と関わりない歌謡曲の歌詞が、自分の人生を投影するように、胸に強く迫ることもあるはずだ。

“Strumming my pain with his fingers,
Singing my life with his words”

って歌詞からすると、歌っている男性歌手は、ギターの弾き語りで歌っている設定だろう。

彼が爪弾くギターは、彼女の苦しみを表現するような哀しい音色とか、彼の歌う歌詞は彼女の人生を代わって表現するような内容とかロバータに歌われると、具体的な状況を想像せずにいられなくなる。
そして、思わず涙が溢れてくる。

“Killing me softly with his song”

タイトルでもあるサビの歌詞が、たまらない。
直訳すると「彼の歌で私はやさしく殺された」?となってしまうが、それではよくわからない。
英和辞典を紐解くと、killには悩殺とかうっとりさせるという意味もある。ここではそちらの意味だろう。

知らない若い歌手が、自分のことを歌っているように、切ない歌声とギターで、私はすっかり引き込まれてしまった・・・

芸術の魅力って、明るくポジティブな面もあるが、感情のひだを刺激し、人生を思い出させるようなほの暗い表現にこそ、僕はあるように思っている。

「やさしく歌って」は以前ネスカフェのCMで使われて(渡辺美里のカバー)ご存知の方も多いと思うが、生半可なラブソングではない。人の心のひだを突き刺すような、芸術のダークな魅力をスマートに描いた名曲だと思う。


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