もっと裸になれよ
2023年本屋大賞作品の「汝、星のごとく」を読み終えた。
「汝、星のごとく」はゴリゴリの恋愛小説だ。二人の主人公がついたり離れたり、すれ違ったり、お互いに問題が起きたりして、さてどうなることやらって内容だ。詳しい感想は気が向いたら書くようにする。
ふだんは恋愛系の小説はあまり読まない。ミステリー系かお仕事系のジャンルが多い。味変をしたいときは恋愛系のジャンルに手をだす。恋愛小説を読むと学生のころの後悔を思い出してしまう。
ものすごく恋多き学生時代を過ごしてきたわけではない。むしろまったくの逆である。
学生のころはとにかく素直になれなくて「女なんていらねーよ」なんていう硬派を気取ったダサい人間だった。
好きな子がいるにもかかわらず、周囲にはそのことをいっさい知らせず、気持ちを伝えることもなく、一人こっそり思いをはせていた。
あるとき、好きな子の家を知る。子どものころって好きな子の家をなぜか知りたがって、知るとなぜかテンションが上がる。あの気持ちはいったい何なのだろう。わかる人がいてくれると嬉しい。
僕はその子の家を知ったとき、とにかくテンションが上がった。
通学路からそれているのにわざわざ遠回りをして、その子の家の二つ手前の信号で折り返す。あわよくば偶然ばったり出くわしたていで遭遇しないかと期待しながら。イタイやつだ。
学生のころは野球部で毎晩5キロほどランニングをしていた。
好きな子の家が片道2キロくらいのところにあり、往復するとちょうどいい距離になる。だから、毎晩その子の家にいく。体力をつけるという意味よりその子の家にいくというのがモチベーションになっていた。
これが僕にできる精一杯の戦略だった。
あ~ダサい。とにかくダサい。
そんなダサい昔の自分に伝えたい。
もっと裸になれよ。
素直にまっすぐに。変化球なんて覚えるな。これが変化球なのかもわからんが。
大人になればなるほど、もっと素直になれず、もっと複雑な関係になってくる。もはや変化球しか投げれなくなってしまう。
若いやつはもっとストレートでいかんと。てか、学生なんて若いどころか少年だ。
「汝、星のごとく」もそうだが、「ハナミズキ」や「花束みたいな恋をした」みたいな長い年月をかけて描かれる作品は、最初はストレートに強力磁石のように引っ付くのに、後半なったら急にカーブが多くなってうねうねし出す。
やっぱり大人になると色んなことが押し寄せてきて複雑になってくる。
だから、もう一度伝える。もっと裸になれよ。
いったい切手を何枚貼れば、過去の自分に手紙を送れるのだろうか。以上。終わり。
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