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不用品博物館

いらっしゃいませ
ようこそ不用品博物館へ

え?ここは何かですか?
様々な不要なものを集めて展示する
博物館です
名前の通りですよ
どうしてこんな博物館を作ったかですか?

そうですね
少し長くなりますが…お話しましょうか

「要らないものは 処分しなさい」

これは 母の口癖でした
ゴミはもちろんですが
読み終えた本や、着なくなった服
他所の女と浮気をした父親に
私に意地悪をしてきた近所のこども
手を噛んだペットまで

なんでも処分してしまうのです

そんな母ではありますが
私の事はとても大切に育ててくれました

母はとても厳しく
干渉や執着のとても強い人で
私に必要の無いものは全て処分し
いつも私の行動に目を光らせ
学校にまでついて来ていました

私にとって良くないモノ
全て遠ざけようと必死だったのです

母がこんな風なので
私にはずっと友達が居ませんでした

ところがある日
ようやく私にも仲の良い友達ができたのです

彼はとても優しく良い子で
母も気に入り毎日一緒に遊んでいました
そして
『ずっと友達で居よう約束!』
といって指切りげんまんをしました

♪うた
指切りげんまん

嘘ついたら針千本飲ます

指切った


真っ赤になった彼の小指が
ぽとん と
私の手のひらに落ちました

すると彼は約束をしたにもかかわらず
私の元から去って行ってしまったのです

彼はその日以来
目も合わせてくれなくなりました

悲しみに暮れる私を見て母は
「約束を破るような子はあなたに必要ありません」

♪うた
嘘ついたら

針千本飲ます


こうして彼は母によって処分されました

私は彼の小指をとても大切にしていました
初めての友達からの
初めての約束の証だったのですから

宝箱に入れ時折眺めては
彼と遊んだ日々を思い出していました

「いつまでそんな物を持っているのです。
そんな物を持っているから、いつまでも悲しい気持ちになるのです。
必要ありません捨ててしまいなさい。」

母は彼の小指を捨ててしまいました

私にとって大切な物をも
捨ててしまう母は果たして
私に必要なものなのでしょうか?

いいえ 不要なものです


不要なもの?そうか…それなら……

「お母さん
不要なものがもう1つありましたので
これも捨ててしまうことにします。
ねぇ、おかあさん……」


こうして私は母を処分しました

ですが
これでも私の事を
手塩にかけて育ててくれた母親です

それなのに不要なものだからと言って
ただ捨ててしまうのも勿体ない
そうして展示する事を思いついたのです

こちらにあるのが
私にとって
もう不要になってしまった母です

あなたは私にとって
必要なお客様ですか?
それとも……



ギィィィーバタン

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