恋で生計は立てられない 第三章「あなた無しでは生きてゆけぬ」2
東京から離れて、私たちは『極楽浄土』本店が構える南武線の電車に乗った。車内は混雑しているわけではなかったが、この路線は走行中の揺れが少しばかり激しいため、よく車酔いに似た気持ち悪さを起こしてしまう。あらかじめ白くんに伝えていたためか、彼は「身体預けていいよ」と私に甘いささやきをくれる。肩にもたれながら、閉まるドアを見るともなしに見つめた。
日が落ちるのだなと、暗くなっていく車窓の景色を見て、思った。男性経験を得るという長年の夢が今まさに叶うところで、だからといってそれがど