気持ち良さそうに音楽を聴くサラリーマン


朝の通勤途中、メトロの出口前の道端でヘッドホンをつけ手を大きく広げて斜め上を向いて気持ち良さそうな顔で歩いてる人を見た。メガネかけたおじさん。年齢は40代くらいだと思われる。スーツ着てるからサラリーマンだろう。

 その姿は、一言で表すなら映画『イエスマン』のポスターのジム・キャリーのような感じ。

 明らかに異質。だって朝の通勤時間帯で人通りも多いんだぜ。

思わず笑ってしまった。

 でも 

 おれはいいなって思った。

 多分音楽を聴いてるんだろうけど、音楽にあれだけ酔いしれることができる感性は素晴らしい。おそらく誰かに「音楽に酔えるおれ」を見てほしいっていう欲はない。見た感じの雰囲気で判断してるけど。なんかそういう嫌な感じがしなかった。清々しい感じだった。 あれだけ音楽に酔えるなんて、人間的で良いじゃん。 

 本当は誰しもああやって手を広げて音楽を聴きたいはずだ。ノリノリでリズム取りながら聴いたり、ビート刻みながら聴きたいはずだ。電車の中とかだったらリズム取ってたら迷惑だけど、気持ち良さそうな顔くらいしてもいいはず。でもみんな無表情でリズムも取らない。そんなことしてたら「なにあいつキモい」って思われる、と思ってる。そしてそう思われるのが嫌だからだ。 

 あんまり周りの目を気にして真顔で音楽聴いてたら、そのうち気持ちよく聴くってことを忘れちゃうんじゃない? 

 自意識過剰なのはお前らだ。イヤホンつけてるお前ら。みんな気持ち良さそうな顔しながら音楽聴けや。芸人の深夜ラジオ聴いてんなら、たまに思わず笑ってしまったりとかしろや。我慢すんな!

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