財布

「財布を買い替えたいと思っているんだが、どういうのがいいと思う?」
「そうだな、君の今持っている財布は少し大きいから、もう少し小さいのがいいんじゃないか?」
「僕もそう思ってるんだ」
「いつもお尻のポケットから財布が出てるからな。最近はスリも多いと聞く。そんなにポケットから出てたらスッといかれるよ」
「でもさ、デカいからこそ、お尻に財布があることを感じられるってのもある」
「最近のスリを舐め過ぎだね。奴らは肩を触ったりして意識をお尻以外に向けて盗むんだ」
「それならなおさら財布を尻でしっかり感じられたほうがいいじゃないか」
「ポケットから財布が出てたら、財布がポケットに入ってるのがバレバレだろ。それは狙われるよ」
「小さい財布が入っているのがバレたらもっとヤバいじゃないか」
「そんなに盗まれるのが嫌だったら小さい財布にチェーンでも付けてたらいい」
「君がスリの恐怖を無駄に押し付けてきたんじゃないか。それに中学生みたいにチェーンなんて付けてられない」
「だったら財布をバックに入れておけばいいだろ」
「僕はリュックしか持ってないし、改札通るときとか会計の時にいちいちリュックから財布を出すなんて面倒くさいじゃないか」
「じゃあ肩からかけるタイプのバッグを買ったらいい。取り出しやすいぞ」
「なんで財布を買おうか悩んでるのにバッグを買わせようとしてるんだ」
「じゃあもうその肩掛けのバッグを財布代わりに使えばいい」
「バッグに小銭をジャラジャラ入れてる人を見たことがあるか?小銭とか札とかカードを入れたらぐちゃぐちゃになって手が付けられないだろ」
「じゃあバッグに仕切りを付ければいい」
「それをするなら財布に肩掛けの紐を付けたほうが早いだろ」
「解決したか」
「そうみたいだな」

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