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K先生(小説です)

 お若いあなたにはちょっと想像できないでしょうが、昔、教師というのは学校で鞭を持ち歩いていたものです。悪童たちを懲らしめるためだったのでしょうが、私はよく叩かれました。私の家は貧しくて、それはそれは貧しくて、町外れの、大人が片手で押せば簡単に倒れてしまいそうなボロ家に母親と二人で住んでいました。母は牡蠣の季節には港に殻剥きに行き、それ以外は建設現場で滑車を引っ張ってなんとか暮らしを立てていましたが、それでも逃げても逃げても貧しさはどこまでも追いかけてきて、地を這うような日々で

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