【モダン】OTJ環境ホワイトサンドの覚え書き

主に都内と神奈川でモダンをプレイしているものです。
OTJ環境にて自分がこねくり回していたホワイトサンド(エメリアコントロール、白単エメリア)のリスト変遷、基本思想、環境の立ち位置、試した構築に関して簡単にまとめました。

現代のホワイトサンドというデッキに対する解説や知見はネット上では少なかったため、少しでも未来の自分や今後ホワイトサンドを使うプレイヤー、対峙するプレイヤーの助けになれば嬉しいです。

またこの記事は、このデッキを一人でブラッシュアップするのが頭打ちになったため公開しています。
ホワイトサンド有識者の方はぜひリストへの意見や、OTJ環境で試したカードについての情報をコメントで教えてください。


ホワイトサンド使用の経緯

元々2018年頃にエメリアコントロールを使用しており、デッキと一部パーツに愛着がありました。
中でも『太陽のタイタン』と『太陽の勇者、エルズペス』は現代のモダン環境では遅いものの、当時は出れば勝ちと言えるほどのパワーを持っており、当時のキーカードとして活躍していました。

しかし令和のモダンについていけなくなったこの2枚。
エメリアコントロールはこれらのカードを船から降ろし、『永久の優雅』を手にして「ホワイトサンド」として存続しました。

そんな中OTJに収録された『百戦錬磨、アニー・フラッシュ』。
太陽のタイタンを彷彿させるcipと誘発型能力を持つこのカードを軸に、再び白の重コントロールを目指してデッキを作り始めました。

デッキリストの変遷

ホワイトサンド-1.0


アニーを軸に、ホワイトサンドを組むことを決めた環境最初の(ざっくりとした)リストがこちらです。

何で?

通販で買った『アニー・フラッシュ』は届かず、『一つの指輪』は入れ忘れました。
スタート地点から全く別のデッキになってしまいましたが、この未完成の状態でも環境との噛み合いを感じられたことから、本格的な調整を始めました。

このリストを回しての要点は以下です。

  • 『砂の殉教者』+『永久の優雅』はフェアデッキに対する非常に太い勝ち筋

  • 『沈んだ城塞』+『廃墟の地(解体爆破場)』は多色デッキを容易に詰ませる

  • 『機械の母、エリシュ・ノーン』は着地した段階で勝つマッチアップがある

  • 『大いなる創造者、カーン』は悠長→カーンに替わる勝ち筋が欲しい

  • 『砂の殉教者』はそれだけで勝てるデッキに対して4枚も必要ない→殉教者を減らし、それに伴って永久の優雅の枚数を調整する

  • 土地破壊プランがあるのに『レンと6番』に対する除去が4枚しかない(しかも全て3マナ)→2マナ以下でPWに触れられるカードを入れる

ナヤサンド

『アニー・フラッシュ』が届いてからのリストがこちらです。

悪くないのだけど……

アニーが加入し色が増えたことでリクルーターとしてロッコを採用しています。
結論、アニーのパワー自体は高かったですが、

  1. タップインがかさむデッキに対して、6マナと高コストであること

  2. 釣り上げる先が1マナのカードになりがちでバリューが低いこと

  3. 多くのマナで構える動きがデッキと噛み合っていないこと

  4. デッキ全体が重すぎるカードと軽すぎるカードで構成されているため、誘発が活かしにくいこと

  5. フェッチランドなしでは6ターン目に3色出ていないパターンも多いこと

上記のように問題点も多く、このデッキに令和の白タイタンの席はありませんでした。

このリストの要点は以下です。

  • 『一つの指輪』はモダンを定義するカード。当然使うべきで、対策するべき

  • 殉教者は一回の起動だけでビート、バーンを否定できるので2枚でも十分軸になる

  • 土地24+4に対してタップインランド7枚は厳しい

  • 2マナ域での能動的なカードがない

  • 『ポータブル・ホール』は『一時的封鎖』で飛んでいく

  • クロック、フィニッシャーが不足しておりゲームが長引く

ノワールサンド

アニーを使わなくなったことで色に余裕が生まれました。
そこでこのデッキに必要な要素を考え、他の色の採用を検討してみましょう。

  • 2マナの能動的なカード

  • 『レンと6番』への除去

  • 『一つの指輪』への対抗策

  • 使いやすいクロック

そう。これに当てはまるのは、みなさんご存知『オークの弓使い』ですね。
最終的なメインボードはこのようになりました。

完成

そして速やかにゲームを畳むためのフィニッシャー兼力戦ドラコに対する全体除去として、エルズペスが採用されました。
令和の白タイタンを使おうとしたら昭和のエルズペスが出てきた。

2色にまとめたことでタップインランドが減らせ、沼も採用出来たのでカラースクリューも解消されました。
エメリアが機能する試合はすでに勝ち試合であることが多く、オーバーキルになりがちだったためエメリアは抜けました。

強いカードは強い。

基本思想

ホワイトサンドはライフゲインを盾にゲームを引き伸ばし、ライフを詰めるカード、小粒クリーチャー、不確定カウンター、ハンデスの価値を下げます。
さらにこちらは小粒クリーチャーを主に使用し、単体除去を腐らせることで、デッキ全体の出力で勝つデッキだと自分は捉えています。
相手の土俵には付き合わずにひたすら対処とドローを続けて、1/2や2/2で殴り始めたらいつのまにか勝ってるというイメージです。

さらにこのデッキはそこに土地破壊による明確な詰み筋と、エルズペスや名誉回復(後述)など、各種デッキへのキラーカードを入れることでタイムリミットを設ける構造になっています。
環境上位であるドラコ力戦には土地破壊で、果敢には殉教者で有利に立ち回れることからこの形に落ち着きました。

基本的な動かし方は、序盤はひたすら盤面のカードに対処し、中盤から終盤にかけてはは指輪や小粒クリーチャーの物量で制圧することが目標です。

また早期から土地を責めることで相手のアクションを釣り出し、後出しでの対処が狙いやすくなっています。
環境上位のデッキのほとんどが基本土地を2〜3枚程度しか採用していないため、こちらの『流刑への道』と『廃墟の地』のバリューはゲームが進むに連れて上がっていくことも追い風です。
1枚採用されている『名誉回復』は力戦ドラコの力戦や、『レンと6番』などのPWにメインから触れる他、基本地形を破壊できる点から採用しています。
赤黒想起やヨーグモスは沼、カウンターモンキーは島など、多く採用されている基本土地を1枚破壊すれば大人しくなるのでオススメです。

環境の立ち位置

デッキの構造上、クリーチャーで殴り合いを挑んでくるフェアデッキには滅法強いです。
簡単に相性をまとめると

有利

赤黒想起
ドメインズー
果敢
リビングエンド
カスケードクラッシュ
バーン
カウンターモンキー
ジャンド

噛み合い

黒単貴重品室
独創力
レンオム
御霊シュート

不利

アミュレットタイタン
トロン
青白コン
ヨーグモス
ウルザソプター

無理

LO


有利デッキに対してはトレードを繰り返しているだけで徐々に有利になっていくため、デッキが勝たせてくれるマッチアップだと感じています。
強いて言えばまずは盤面を処理して、何もしなくても2ターンは生き延びられる時に土地を割り始めます。
特に果敢に関しては渡した土地から稲妻などのワンアクションが増え、負けに繋がる場合があります。


噛み合いデッキに関しては、特定のカードの動きに依存しています。
黒単貴重品室はあちらの方が重要な土地が多いため、土地の割り合いでは有利です。またゲームを決めるカードもカーン4枚とシェオルドレット2〜3枚しかありません。
しかしこちらのデッキにないカーンによって後続を確保されること、こちらの指輪が止まることが致命的です。
カーンを落とせる盤面を作るか、返しに除去することでウィッシュを一度しか使わせないことが必要になります。
カーンの殴り要因かつ除去になるため、このマッチの最重要カードは『スカイクレイブの亡霊』です。

独創力とレンオムはどちらも『レンと6番』が採用されています。
フェッチランドを回収される分には困りませんが、割ったショックランドなどを回収されると一気に苦しいマッチになります。
極力構えて、『シェオルドレットの勅令』で処理しましょう。
幸いどちらのデッキも『機械の母、エリシュ・ノーン』を突破する手段に乏しいため、このカードを出すことがゴールになります。

御霊シュートは根本的には殴りデッキなのでそこまで不利はつかないのですが、悲嘆で除去を落とされてからの『御霊の復讐』は簡単にゲームを終わらせてしまいます。
一度御霊シュートを決められても即死するわけではないので、まずは指輪を着地させることを目標にします。
相手はとにかくアドをとりますが、中身はハリボテの場合が多いので最後までプレイしましょう。


不利デッキは見てわかるようにライフが関係ないデッキと土地コンボです。

ホワイトサンドはゲームを引き伸ばすことを目標にしていますが、コントロールやコンボはその時間を使って準備し、フルパワーで当たり合いを仕掛けて来ます。
そしてそれを受けきるのにライフを増やすのが有効でないマッチは、非常に不利です。
『ファイレクシアの十字軍』での毒殺、『夢を引き裂くもの、アショク』でのLO、『未認可霊柩車』でのワンパンなど、ゲームを畳む別の手段を再度インしましょう。

またこちらの土地破壊以上に土地のサーチが得意な土地コンボ系も不利です。
特にアミュレットタイタンは1ターンでライフを30点以上削ることも用意なため、相性はかなり悪いです。
置き物破壊とサーチ阻害を入れて、相手が復帰できないように徹底的に土地を破りましょう。
上記のリストはドメインズーが最多だったときのもので、アミュレットタイタンが増えてからはアショクの枚数を増やし、『エイヴンの思考検閲者』も取っています。
これらのサーチ阻害はヨーグモスに対しても有用です。


LOは無理です。
こちらの耐えてドローを回すというプランがそのまま相手の勝ち筋になっています。
細かいシナジーが多く、それを分断する『外科的摘出』も非常に苦しいです。
また主なアタッカーのパワーが1か2ということもあり、カニによって盤面が止まります。
その上こちらの土地破壊に対応して『書庫の罠』が飛んできます。
よく行くショップやメタゲーム上にLOがいるなら、サイドにエルドラージ3柱を全て取りましょう。


使う側、使われる側の小技

ホワイトサンドを使う時は、以下の小技を覚えておきましょう。

  • 諜報ランドや『ドラゴンの怒りの媒介者』の誘発解決後に『廃墟の地』や『流刑への道』でシャッフルさせる。

  • 『永久の優雅』で『砂の殉教者』を戻したとき、ディスカードに入る前に殉教者を起動する。

  • 『沈んだ城塞』×2で『アーデンベイル城』を起動できる。

  • アミュレットの誘発にスタックして土地を破壊することで、マナを出させない。

  • 『機械の母、エリシュ・ノーン』がいる状態で『北方の大鷲』が場に出ると全体のパワーに+2の修正が入る。

  • 果敢に採用されている『溶岩の投げ矢』が墓地にあると、土地破壊を無駄撃ちさせながら呪文を唱えられてしまうので、土地を割るのは自分ターンかつ自分の土地が余っている時に。


このホワイトサンドというデッキは土地と盤面への干渉のみで有利を使っています。
逆にこのデッキと対峙した時は、以下のように対処してみてください。

  • デッキ内のビート以外の勝ち筋を整理し、それ以外に除去を使わせる(墨蛾で10回殴る、PWの奥義、5テフェのマイナスでのLO待ちなど)

  • クリーチャーによるビートダウンしかないのであれば、『砂の殉教者』を墓地から抜く、『永久の優雅』を割るなどし、40点削ることを見据える。

  • スペルには干渉できないので、オークが居ないタイミングでドローソースを連打してから急戦を仕掛ける。

  • 基本土地を全て出してしまうと土地破壊にハマりやすくなるので、フェッチでは特殊地形を持ってくる。

  • 詰める速度は遅いので、盤面の脅威を捌いていると指輪を使い始める。指輪ではなく引いたカードに対応し続けることでセルフLOが狙える。

  • アクション数が多いデッキではないので、ティシャーナや緻密で仕掛けるのも有効。特にティシャーナで土地破壊を消されるとかなり苦しい。



試したカード、構築

血染めの月

特殊地形の「色」を縛るカード。
土地を破壊するプランと相性はよく見えるが、土地破壊がマナの「数」を縛る目的であるため、今ひとつ噛み合いが良くありませんでした。
『沈んだ廃墟』+『廃墟の地』を取っていないホワイトサンドであれば有用なサイドカードだと思われます。

ウルザの物語

ゲームを高速で畳む、各種ほぞで縛るというプランを補強してくれます。
しかし無色地形やタップインランドが多く、このカードを重ねて引いた時のゲーム運びに難がありました。

太陽のタイタン

昭和の切り札です。
アニーよりは使いやすかったのですが、誘発でのリアニメイト先が主に『廃墟の地』になってしまっており、勝ちに近い盤面をより固めるだけのカードでした。
このカードでなくても勝ってる場面が多く、余っていたクリーチャー除去を吸ってしまいます。

石鍛冶の神秘家

このカードは相手に対処を迫り、対処できなかった場合は『カルドラの完成体』を押し付け、除去で対処した相手にはさらなる脅威を叩きつけることで真価を発揮します。
しかしこのデッキには1、3マナに脅威となるカードが少なく、ただこのカードが除去されて終わる場合が多かったです。
黒ではなく青をタッチして、『謎めいた外套』などを採用するのはありかもしれません。

セラの高位僧、エスパーの歩哨

相手のオークに美味しく頂かれるカードは、モダンのデッキに席はありません。
強いシナジー(ウルザソプターの歩哨)やゲームを決める力(ラガバン)があれば別ですが、このデッキでは難しかったです。
『イーオスのレインジャー長』の枠を増やせるなら、高位僧は1枚だけ採用すると思います。


終わりに

ホワイトサンドは平成のデッキではありますが、唯一無二のコンセプトをもっているため、環境に適応して生き延びる力は相当高いと感じています。
ホワイトサンドを使ったことがなかった皆さんは、ぜひ一度ホワイトサンドを使ってみてください。
独特のプレイ体験ができる良いデッキです。

自分は今後、土地破壊方面では『幽霊街』+『世界のるつぼ』や『浄化の野火』を、ビート方針では『永久のドラゴン』テスト予定です。

これらのカードの情報は今後発信していきますので、ホワイトサンド愛用者の皆さんも試したカードや感想を教えてください。
一緒に特殊地形を根絶やしにして、ビートデッキを絶滅させましょう!


Twitter:@yuukoobro
(スパム対策に鍵をかけていますがフォロー申請は全て通します)

画像はMTG Playbookというアプリから使用しています。
ライフカウンターやデッキリストの登録だけでなく、各マッチアップの結果登録や勝率、マリガン数なども記録できるため非常にオススメです。
(https://apps.apple.com/jp/app/mtg-playbook/id6446243687)

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