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#オージー!

JanJucでの初日は、ティム、ロイ、キニー・・3人のオージーによる手厚い歓迎を受け、二日酔いでガンガンする頭を押さえながら、シャワー(もちろん水!)を浴びて目を覚ました。昨晩は3人もクラブハウスに泊まった様子だった。

シャワーから戻るとまだみんな寝ているようなので起こさないように・・そぉ〜っとクラブハウスの外へ出て目の前の海をチェックする。

うっすらとだけどウネリが入ってきている。決していい波とは言えないが、なんせ約1週間ぶりの海だ。待ちに待ったこの瞬間!3人が目を覚ますまでと思って、急いでウエットスーツに着替えてボードを抱えてビーチに戻ってくる。

手早くワックスアップも済ませて入念にストレッチで身体を温める。まだ昨晩の酒が残っているようなので頭はガンガンして、フラつくけど・・・海へダイブ!ざっばぁーん!ウオォー!これこれ!この水の感触!急いで両手で水をかき沖へと向かった。さほど波も大きくなくドルフィンスルーを2〜3回してウエイティング・ポジションまでたどり着いた。波待ちをしながら遠く沖合を見つめる。

昨日までのことが次から次へと頭の中を駆け巡る。日本を離れて10日も経っていないのにホント色んなことがあったなぁー!今までの苦労が全て報われたような瞬間だった。

日本の中にいるだけだったら絶対味わえない経験を今している。そう思うとサーフィンしていて良かったなぁーって実感がフツフツと湧いてくるようだった。

1時間ぐらいたっただろうか?そろそろ、みんなも起きているかも!? そう思って海から上がった。シャワーでボードの潮を洗い流し、オレも冷たいシャワーを浴びてサッパリした。身体からはアルコールが抜けてしまったようだった。

ベットルームに3人の姿がなかったので、2階へ上がっていくと、それぞれがパンを焼いて簡単な朝食を食べているとこだった。

『おぉー!おはよう!』・・『おはよぉー』

『もう1ラウンドはいってきたのか?』・・『うん!』

『パンやるよ。朝飯たべろ』と、トーストしたパンに茶色いバターみたいな物を塗ったやつをくれた。・・『えっ!? パンに塗ってるこれなに?』

『あっ!これ!ベジマイト』・・『えっ!べ、ベジマイト!? 』

『いいから食ってみろ。うまいぞ!』サクっ!モグモグ・・・びみょー・・・『えっ!これミソ?』

『ミソじゃないよ!ベジマイト』ミソじゃないけどベジマイト!? ・・何だこれ?

これがオレとベジマイトの初めての出会いだった。

ベジマイトの第一印象は決して良いものではなかった。それでもオージーにはとても愛されている定番中の定番の食べ物で、一家に一つは必ずあるという国民的人気”物”だと知った。

どんな味かというと・・”ちょっと塩辛いミソ”としか言いようがない。好きな人は好きだけど、嫌いな人は嫌いって味だ。しかもなんでそれをパンに塗る!? これが食文化の違いってやつかぁ!?

 それでも他に食べるものがなかったのでオレは、これをJanJucに滞在中ほぼ毎朝、食べていたので日本に帰る頃には大好きな食べ物になっていた。日本に戻ってしばらくはベジマイト恋しさにセンチメンタルな気分になったこともいい思い出だ。

ある意味、中毒性の強い食べ物ということだろう。

朝食を終えて『今日、これからどうする?』って話しになり、海に入る人。波も良くないし家に帰る人。レポート書くっていう人。それぞれの時間を過ごすことにした。

そうそう!この3人現役の大学生であり、海を守るライフセーバーでもある。

なので・・それなりに大学の勉強もしなくちゃいけないし、進路も考えなきゃいけない。このへんの事情は日本の大学生と一緒だと思う。ライフセーバーであるということを除けばだけど。

浴びるほど酒を飲んで騒いでも、勉強とライフセービングの時間はキチンと確保する。このへんの意識の持ち方は滞在中に彼らから大いに学んだ。

余談ではあるが・・・ライフセーバーと聞くと『あぁー!あれね!ほら夏の海水浴場にいる救助の人だろ!』ぐらいにしか思っていなかったオレだけど・・オーストラリアのライフセービングは今や国技として認知されているほど。鉄人レースと呼ばれる競技会も盛んに行われていてトップ選手ともなるとスポンサー収入と賞金で数千万を稼ぎ出す人もいるというから驚きだ。

昔、師匠であるオーナーから聞いた言葉を思い出していた。

『いい波のところには必ず”WaterMan" (ウォーターマン)がいる。』

ある意味、ライフセーバーはウォーターマンに最も近い存在なのかもしれないなぁ! ロイとキニーとは、今日夕食をまた一緒に食べようって約束して一旦そこで別れた。

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