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#親切

バイト仲間のダイさんから『ジェニファーと連絡がとれるまで、2日間ほど時間を頂戴!』と聞かされ、それじゃぁ!どこにホテルを探すかを考えなくてはならなくなった。

選択肢は2つ。

1つは、メルボルン市内でホテルを探して、ダイさんからの連絡を待つ。

もう1つは、今から波乗りできそうな場所へ移動して、ダイさんからの連絡を待つ。

そうとわかれば、早速行動だ!

メルボルンの空港内で道ゆく人に片言の英語で声をかける。

『この辺で波乗りできそうな場所を教えてください。』

オレの英語が伝わっていないことは、一目瞭然だった。オレはとてもとても困った。英語が伝わらないことにではない。もっと根本的な問題だ。

そう!オレはこの時、どこに波乗りできる場所があるのか?それすらもわからずに、日本を飛び出し今ここにこうしているってことに!オレはなんの準備もしないまま、ここメルボルンまで来てしまった。

ダイさんの知り合いのジェニファーがメルボルンにいるっていうことだけで、全てがなんとかなる気でいたんだろう。

背筋にヒヤッとするものが走ったような気がした。持ってきた唯一のオーストラリアガイドブック『地球の歩き方』!それには波乗りに関する情報は、ほとんど載っていない。そりゃそうだろう『地球の歩き方』って観光客向けのガイドブックだよなぁ。

まずは、深呼吸して冷静になる。

とにかく誰かに聞かなければ・・そうだ!言い方を変えてみよう。

『自分はどぉーしても波乗りしたくて、日本から来た。だから、波乗りできる場所教えてほしい』

このように言い方を変えて何人めか人、Mr(ミスター)が『Come here!』とオレの前を歩き、どこかに案内してくれるようだった。

案内してくれた先は、空港インフォメーションだった。そこでミスターは係員に事情を説明してくれている様子だった。その横でオレは事の成り行きを見守っているだけだった。

しばらくしてKazumiさんという日本語を話せるオペレーターがやってきた。

オレはミスターに『Thank you Mr!』とお礼を言った。

本当はもっと色々なことをミスターに伝えたかった。でも、その時のオレにはThank youと伝えることが背一杯だった。感謝を伝える単語を他には知らなかったから・・でも、ミスターはそんなオレの心情を察してくれたのか!?親指をビッと立てて笑顔で去っていった。

その瞬間!今、目の前で起きた鮮やかすぎる光景に、まるで自分が映画の中か何か!?別な世界にいるような気分になった。

ミスターに変わってKazumiさんに、『日本から波乗りに来たけど、友達の友達には会えず困っている。ここでホテルを探すのか?波乗りできそうな場所に移動してホテルを探す方がいいのか?でも、波乗りできる場所がわからないんだ』と伝えた。

自分の感情がスラスラ言葉にできるってなんて気持ちがいいんだろう!?日本の中で生活していたら湧いてこない感情だった。ここに来て、無計画で旅をスタートさせたことを少し後悔した。

そんなオレの質問にも、笑顔でKazumiさんは応えてくれた。

『ここメルボルンから行ける波乗りできそうな場所は、フィリップアイランドかグレート・オーシャン・ロードかな!』うん!うん!

『でも今の時期、フィリップアイランドはペンギンが産卵のために浜に上がってくるの。だから観光客も多く、多分ホテルはどこも一杯だと思うよ。オススメはできないなぁ』えぇー!

『グレート・オーシャン・ロードだったら海岸線にサーフポイントも多くあるから、そっちにしてみたら!』うん!うん!じゃあそうしようかな!

『そのためには、いったんメルボルン市内に出て、電車で行くか?レンタカーで行くか?検討してみたら!』じゃあそうします!

その上、メルボルン市内にあるKings Gate(キングス・ゲート)ホテルまで予約してくれた。とても親切丁寧な対応に感謝感激だった。Kazumiさんにあらためてお礼を言い空港をあとにしようとした。

『あっ!そうだ。空港から市内まではスカイバスというシャトルバスがあるからそれを使うといいよ』とまで教えてくれた。

大変なこともあるけど・・こんな風に人の親切にダイレクトに感動できるのも、無計画なひとり旅の良い面なのかもしれないなぁ!

そんなことを思いながらスカイバスの車窓から広大な景色をボォーと眺めていた。バスは、かなりなスピードでメルボルン市内へと進んでいく。

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