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》》中堅看護師として

現在私は看護師をして10年近くになる。
その間に産休育休を2人分は取得しているので現場歴としては10年未満になるが…
10年近くもこの業界にいれば誰しも経験するであろう役目…

「指導係、プリセプター、臨床指導者」

などの問題である。

かれこれ私もプリセプターや指導係は数回経験した。
その中で困った事が何点かあった。
それについて書いていこうと思う。


1.3年目の役目:プリセプター

はじめてのプリセプターは看護師3年目で訪れた。
まだ経験的にもベテランとは言い難い。
少し看護師という仕事に慣れてきた段階である。
はじめてのプリセプターに緊張していた私の後輩は俗に言う「できる後輩」であった。
何事も卒なくこなす。むしろ私より手際がいい。
教える事も3ヶ月程度で底をついた。
関係性は良好だったし、上司からは「プリセプターはプリセプティの精神面のフォローを重点的に。」と言われ忠実に精神面のフォローをしていた。
だが、ある日私は上司の前で涙が止まらなくなった。
私の精神面がガタガタになっていたことに気づかなかった。

2.プリセプターのフォロー

自分でも気づかなかったのだ。
プリセプティの精神面をフォローしていくうちに自分の心の器が溢れていることに。

「できる後輩」とは言え、そこは数ヶ月の新人である。
抜けはあるしできない事の方が多い。
それは当たり前なのだけれど…
やはりそれを許せない上司もいる。

看護師は特有の雰囲気があり、常に厳しい言葉を浴びせられる職場の方が多い。
できなければすぐに
「もういい。」「何回目?」「前もやったのに」など
1回〜2回見ればそれはもう「経験あり」になる。
つまりそこで習得できなければ「できない子」の烙印を押されると言っても過言ではない。
そしてその烙印を押したがる上司がいるのも確かである。

そんな上司から
「あなたのプリセプティ、またこれができてないんだけど?!何回目なの?前も伝えたのに…」
などお叱りを受けるのもまたプリセプターなのである。

そしてそれを私はプリセプティにオブラートに何重にも包み伝える。
その作業がとてつもなく神経を使う。
そして気遣うあまり神経を使いすぎて疲れてしまった。

所属長との面談で気づけば泣いていた。
そして思った。
プリセプターのフォローは誰がしてくれるのか。と。

3.指導係として

6年目くらいだろうか。指導係の役目が回ってきた。
言えば後輩の育成である。
リーダー業務にもなれ、おおよその業務遂行が可能になりDr.とのコミュニケーションも円滑に行える。
そんな時期である。
プリセプター時代の事も思い出し、プリセプターのフォローもしながら後輩の育成に尽力した。
だがここで新たな問題に直面する。
「師長、副師長、主任の指導に対する考えの違い」にふりまわされた。
全ての板挟みになってしまった私はまた体調を崩した。
育児もままならず、家でも休日はひきこもりTVも付けずひたすら横になっていた。
「無気力」だった。

上司の部下の育成に関しての方向性の違いは大いに困る。
なぜならチームとして機能しなくなるからだ。
そしてチーム間の分裂にもつながる。
全てを受け入れる事も不可能。
だが全てを否定することもできない。
誰かの意見を採用すれば誰かの意見を否定することになる。

…まとまらないのである。

4.プリセプター、指導係としての覚悟

私にはいずれもこの覚悟が足りなかった。
プリセプターとしても指導係としても
要は全ての人に良い顔をすることは不可能なのである。
そこを割り切る事が1番重要。
良いところを抽出し、採用していく。
目標をまず立てそこに少しでも早く到達できる意見を都度採用する。
言えば切り捨てる力が必要だった。

その力すらなくただただ言われた意見をバラバラに脈絡なく指導していた。当然上司からは責任追求を求められる。

「一緒にみていたのに新人ができなかったのなら、それはあなたのせい。あなたが怒られるべきであって、新人が怒られるなんて可哀想でしょう」
「確認をしたのはあなたよね?あなたに責任があるわ?」
「こんな事もできてないなんて…指導係なにしてるの?」


これは実際に私が言われた言葉であり
今でも鮮明に思い出すのはやはりそれだけのインパクトがあったからである。笑

自分のせいではないと思いたくても新人にそれをなすりつける事もできなかった。
「そっか。私もちゃんと見れてなかったから…」
そう思う事で責任を取って後処理をしていた。

だが、ある先輩から指摘された。

「そこに優しさはあるのか。誰のためなのか。責任ってなに?」




5.責任をとる。とは

簡単に言えば「相手を納得させる事ができる」ということらしい。(どこかの記事で読んだ)

その記事を読んでふと思った。
上司も私も簡単に責任を取るって言ってるのでは。
と。笑

生意気かもしれないが上司の言う
「私が責任をとるからとりあえず処置に入ってみなさい!」
これどこまで責任をとってくれているのか。

結局は上司が一緒に処置に入るなどして事なきを得るのだが、本当に何かあったときにどう対処してくれるのか。
私はまだ見た事がない。

看護師であれば誰もが書いた事があるであろう
ヒヤリハット報告書。
別名インシデントレポート。
私はこれを始末書だと思っている。

そういう名目ではないと言いながらも
医療安全会議でレポート報告をさせられ
なぜ起こったのか
「本来なら起こらないだろう!」と
医者、看護師長、看護部長から吊し上げられる会議に提出し、出席する場合もあるからだ。

怖い。医療業界。

そんなことはさておき、本来の責任の取り方。
の話しに戻るがそれが「相手を納得させること」
と早めに知っておけば
あのとき責任をとりなさい!と叱られていた自分も少しは違っていたのかもしれない。

自分ばかりを責めず話し合う事でその論点に終止符を打てれた…かもしれない。
(無論私などの後輩の意見を聞いてくれる上司に限るが)

6.結局は人間関係がものをいう。

結論ここである。
私たちの業界は特殊で、気に入られさへすれば
Aの人がやってMAXで怒られる事も
Bの人は5割程度で収まる。
という事である。

気に入られたもの勝ち。

なのである。
私たちの業界にはノルマなどはない。
毎日淡々と目の前の仕事をし、新人のときからきちっと仕事をすれば信頼もおかれる。

面倒くさくない程度の人間性と
悪口に加担する様なしない様な絶妙な線引きをしている同僚は確かに存在する。

言わば「世渡り上手」である。

結局そこかよ!となるが
指導係にせよプリセプターにせよ
上司とのコミュニケーションが円滑であれば意外とスムーズに事は進む。

上司や同僚とのコミュニケーション円滑にするスキルが看護師として続けるにあたって1番必要なスキルということを身をもって経験した約10年であった。


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