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質問に答えるということ
最近、「何もわからない」という感覚に捉えられている。
年齢的にいわゆるダニングクルーガー曲線の谷に差し掛かっており、80ぐらいになって「チョットワカル」という段階に達するのである、よぉBBA!
というわかりやすいストーリーではなく、
「連続した時間を生きていることに確信がもてない、ゆえに私が認識していることも確信が持てず、何も知り得ないのではないか」
という謎すぎる考えに支配されている。
例えば、今は買い物に行こうとして歩いているが、次の瞬間も同じように歩いているという保証はどこにもないし、次の瞬間私は私ではなくなってホニャララピッピ星で何某かの書類の手続きをしているかもしれないし、一瞬前に買い物で歩いていたと思っているのも幻想かもしれない、過去も未来も現在もない、みたいなファンシーな考えである。
こういうときは、何事も楽しくない。Netflix等を見ようと思っても時間の無駄と思って途中でやめてしまうし、BL中華ドラマもかつてほどフヒフヒしながら見れないし、隣町にいって豆大福を買って食べても感動しない。
そこで、ふとGoogle殿に「何もわからん」みたいなワーディングで検索をかけたところ出てきた某知恵袋ですばらしい回答を見つけてしまった。
もう何もわからないです。
もう夢も希望も気力がありません。
何を見ても何をしても何も感じません。楽しい、美しい、おいしい、悲しい、苦しい、など感じなくなりました。
<中略>
私はどうしたらいいですか?
それに対する答えが下記のようなものだった。
近所のスーパーにパルムを買いに行きましょう。おいしいですよ。
この前、会社でお金を出し合って買って、1つ食べてみておいしかったです。
ちなみに、このお金を「町会費」と言っておやつのお金に充てています。
で、そのためにスーパーに行くんです。いいですよね?
普通こういう文脈だったら精神科行きましょうとか、おもしろきこともなき世をおもしろくするのがお前の勤め、とかそういうクソ説教が飛んでくることが多い。ダイレクトなアクションを推奨するわけではなく、優しいお母さんのようなインダイレクトな回答が見事だ。要は、なんていうかだな、感動した!(語彙)
で、当然買いに走るわけですよ。パルム。チョコ味の。冷蔵庫にしまっておいてあとでこっそり食べよう。チョココーティングとバニラアイスが口の中で混じり合うハーモニー。価格的にメチャクチャ高いわけでもなく、袋に対してやや小さめの楕円形であり、ぶっちゃけ足りないんだがそのほどよい物足らなさによりコスパ良し!マジリピします!っていうOLさんが多数あらわれたという古の伝説がある。
ところで、パルムはなんで直方体にしなかったか。さては、私に角の部分を食わせない気だな。開発責任者でてこい!
しばらくして、案の定夫に見つかり、夫がことあるごとにパルムパルムパルム言うようになった。
そしてついに今日の昼下がり、「お母さんパ」といってまともに発語すらしないのにすっと一袋しかないパルムを袋から出して差し出した私。戦前だったら妻の鑑と言われたに違いない。とりあえず半分以上食われたし、食っている最中の顔が那須どうぶつ王国の給餌中のアルパカみたいですんげえムカついた。
で、美味しいんだけどやはり圧倒的に足りなかった。ゆえに過去も未来もないけれど私はあとで箱パルムを買いにいくのである。
<おわり>
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