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息子氏と金利と著作権

息子氏が昨今、私と二人になると
「お小遣いが足りない」
ということをおっしゃる。どうやら彼より多めにもらっているお友達がいるらしく、それが羨ましいらしい。

そして、同じことをばあば(私の母)にも言っているらしく、こないだ
「ところでばあば車売ったんでしょ?そのお金はどうしたの?」
と分け前の催促ともとれる発言をしたようだ。私は母に「あなた方いい教育されてますわね」とチクリと言われたりした。

でも、小学生としては標準的な額を渡している筈だし、出先で喉が渇いてジュースが飲みたいと言い出したら買ってあげているしそこまで我々両親がおかしな対応をしているわけではない(と思いたい)。

しょうがないので、
「いいかい息子氏。お金をもらいたかったら、家でバイトするか、ママ銀行にお小遣いを預けるしかない。なお、ママ銀行は、今なら特別ご優待が入りましてなんと金利10%になります」
とお伝えした。

ノーリスクで金利10%って今時ありえない優遇だ。

すると、息子氏が
「バイトって、洗濯物全部たためとか言うんでしょ。嫌だ。あと、金利って何?」
とおっしゃるので、
「たとえば、お年玉10000円を預けると、一年後に11000円になります。お年玉を30000円預けると、33000円になる計算です。息子氏の来年のお小遣い10か月分ただで儲かるわけですね。いやー、すっごい」
と答えた。

「いま、お年玉は全部パパに預けてて、ぶたさん貯金箱の中にしかお金がないの。そこの1000円預けたらどうなるの?」
「そしたら一年後1100円になりますね。100円もうかる」
「あと、1000円ママに預けたら返してくれないの?」
「一年後にお返しします」
じゃあいい

これだから今時の子供は。まぁお年玉をもらったタイミングでもう一度資料でも作って話をしてみようか。と思っていたら、

「そういえば、ママお裁縫箱にいっぱい綿(※羊毛フェルトのこと)を持ってるでしょ。どうせゾンビモルカーも作らないでしょ。あれは売れないの」
と唐突に言い出した。

この、人のものを売ってそのお金をせしめようという発想はいったいどこから来るのか。

「うーん、メルカリで売ろうとおもってるんだけどね。どうやって売ろうかと思っててね。」と答えたら、
「”ゾンビモルカーキット”って書いて売ったら」
ととんでもないことを言い出した。

これはまずい。大きくなったら変な商売をやりかねない。著作権についてこのタイミングでいろいろ教えないと。と思って足りない頭でたとえ話を考え出した。

「…いいかい息子氏。そういうのは、モルカーの会社にすごく怒られる」
「なんで」
「あー、例えば、息子氏が何かを売りたいとするじゃん」
「うん」
「そこで、噓をついて”ミッ*ーが同じものを食べてるよ!”って言ったらミッ*ーが好きな人は買うじゃん」
「うん」

「でも、それは嘘だからよくないよね。あと、ミッ*ーの会社が本当にミッ*ーが食べているものを”ミッ*ーが同じものを食べてるよ!”って言って売ることも考えられるよね」
「…うん」
「その時に、嘘をついた息子氏が安い値段で物を売ったらそっちのほうが売れるよね?嘘をついてるのに、ミッ*ーの会社より儲けるというのは悪いことだよね」
「うん(ヘラヘラ)」

息子氏はヘラヘラした笑みを浮かべだした。こういう時はあんまり聞いていない証拠である。
「…あなた、全然わかってないでしょ」
「そんなことないよ。ゾンビモルカーキットはダメなの?
「ダメです。モルカーの会社に怒られる」
「ふーん(ヘラヘラ)」

子供に何かを教えるというのは斯くも難しい。

(おわり)


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