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ポンコツ社畜が新疆ウイグル自治区に行った話⑦ ~おまけの成都武侯祠

帰りもウルムチと成都経由で帰ることにしていた。行きは成都の空港でまさかの野宿であったが、さすがに二度目は学習してホテルにとまることにした。22時過ぎに成都に着くので、ホテルでシャワーなど浴びて、早めに就寝したのち早起きして観光しよう、と遅寝遅起きがモットーである自分には似つかわしくない計画をたてていた。

さて、どこに行くか。私は、直前までは普通に成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地にいくつもりでいたが、成都武侯祠という三国志の聖地があるらしいというのを日課のネットサーフィン(死後)で見つけてしまったのである。漢だったら当然、モッフモフでカワイイパンダではなく、武侯祠を選ぶべきであろう。

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自分の世代の大概の男の人は三国志が好きなはずだ。横山光輝の三国志が正史だと言い張り、アニメ版はもちろんリアルタイムで見ており、赤壁の戦いが最終回で「ええ~、そこで、そこで終わるん?」と大半の人がシャウトしてたはず。たぶん。
その他三国志関連の思い出として、以前会社の後輩(中国出身)が退職するときにくれたプレゼントがある。私は貂蝉のボールペンをもらって狂喜乱舞し、関羽ボールペンをもらった同僚が浮かない表情をしたのを見て「ちょっと!関羽だよ!あの曹操が熱をあげた関羽だよ!なんでもっと喜ばないの!三国志ぐらい一般常識だろうが!!」
と普段仕事ではまず見せない熱量でたたみかけたところ、
「ぽんこつさんの常識が一般常識であると思わないでほしいですね」とものすごく冷たく返された思い出がある。
まあそんなわけでみんな好きなはずですよね。三国志。

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そんなこんなでテンションが異常になった状態でホテルにつくと、謎のロボットがお出迎えしてくれた。この円柱型ロボ太郎は、なにやら客室で注文するとお土産を自動走行して持ってきてくれる太郎であるらしい。
すご~い。成都って超都会☆

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さっそく明日に備え風呂に入る準備をする。ふと、部屋のベッドを見るとなにやら既視感がある黒い昆虫が上に置いた私のバスローブ横断しようとしている真っ最中であった。

あー、これいわゆる孔明の罠ってやつですよね。
こういうときはクレームを入れて、部屋を変えてと主張すべきだが、疲れていたので見なかったことにしようと考えた。さっきのは疲れ果てた私が見たあなたの幻だったのかもしれない。
…そう思って再度ベッドに目をやったところ、同じ兵がまだ私のベッドに潜伏してるのが見えた。

あー、やっぱ無理。私会社ではどちらかというとどんな同僚でも受け入れる超寛容なタイプなんだけど~、これは生理的に無理。マヂ無理…。

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そう思って電話のフロントにつながるボタンをものすごく連打し、電話口で「虫がいる~、お願い部屋変えて~。マヂ無理だぉ~」と連呼して部屋を変えてもらった。結局そんなこんなで寝付いたのは3時過ぎ

さて、寝付いたのが3時過ぎでも三国志のためなら早起きはできる。私は6時に起きて空港までシャトルバスで戻り、地下鉄で武侯祠に向かった。

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なお、この時間帯はまだ日がでていない。こんな朝早くから何をやっているのかって?武侯祠に行くにきまってるでしょ。きっと行列だろうし、入れなかったら困るじゃないですか。

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私の心配をよそに、誰もいなかったしそもそもオープンすらしてなかった。

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営業開始は7時半のはずである。少し待っているとチケット売り場のシャッターががらがらと音をたてて開いた。
「甘寧一番乗り!」と危うくシャウトするところであった。

意気揚々とチケット片手に入場するが、観光客がそもそも見当たらず、掃除のおじちゃんおばちゃんばかり。テンションがおかしい客は私一人である。以降、武将の塑像を見つけては写真を撮り、解説文も撮り、みたいなことを繰り返して私のスマホの武将フォルダが火を噴くところであった。

なお、私が三国志で一番好きなのは普通に無難に孔明である。蒼天航路の孔明はかなりタイプ。イケメンで頭よくてちょっと変。あの描かれ方は秀逸である。そんな孔明の塑像ももちろん写真を撮ったが、なにやら金ピカしてて怖すぎた。

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あとは横山三国志の曹操もイケメンだし呂布も男らしくてかっこいい。
まあ付き合うなら呂布で結婚するなら孔明ですな。私に選択肢はないが。
※(注)この武侯祠は蜀関連の施設なので、呂布や曹操はいないヨ!

あと、見逃せないスポットとしては劉備の墓(ホンモノ)とか、桃園の誓いを模した石造とかがあったりする。

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ここにきたら「我ら生まれた日は違えども 死す時は同じ日同じ時を願わん」ってエア桃園の誓いをやりますよね当然。なんか私の後に見に来たおじいさんが見てはいけないものを見たみたいな顔をしてました。

ちなみに、三国志はそこまで…という人でも、中国の落ち着いた庭園を見れるし、人もそこまでいないし、いい観光場所だとおもいますよ。たぶん。

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そんなこんなで興奮冷めやらぬまま、孔明の扇を買ったり、息子用パンダのぬいぐるみをひっつかんで買ったりしながら帰途についた。(おしまい)

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