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日記 #152「最近良かったもの2」

新しくキーボードを買って打鍵の調子が良いので、日記を書こうと思う。コツ、コツ、コツ、コツ。最近よかったもの・その2です。

その1ではなんかすごい長いこと書いてしまったので、今回は軽めに、良かった動画とか記事とかそういう感じでいこうと思う。

Playstationのゲームの効果音職人

よかったもの、WIREDのこの動画。とても面白かった。人を殴る音も、頭蓋を叩き割る音も、腕をへし折る音も、誰かが録音しているんだよな。もちろんその行為を実際に行わずに録音しているのだから、こうやってどういう素材を組み合わせたら狙った音が出せるのかというのを日々考えている人がいるんだ。

この動画の面白いところは、実際の音をそのまま録音するよりもこの人が作った効果音の方が”リアル”に聞こえるところだと思う。実際に骨を折ったり頭を叩き割ったりしても、嫌な音にはなるかもしれないが、ゲーム体験に緊張をもたらすソリッドな音にはならないと思う。この人はそういう”噓”の解像度をどこまでも高めている。

声優とかが近い。アニメでキャラが雑談しているシーンがあったとして、一般人がそれに合わせて雑談しても超棒読みのひどいシーンにしかならないはずだ。それは基本的なアテレコの技術とは別のところに原因があると思う。仮に本当に盛り上がっている雑談の音声を先に録ったとして、そのタイミングに完全に沿うようにアニメの映像を後付けで制作したとしても、ひどく抑揚のないシーンにしか見えないと思う。これは、アニメにおける”リアルさ”が現実に即しているかどうかという点とは別のところに軸足を置いているからだ。声優も上の動画の効果音作家と同様に、「リアル」≠「本物に近い」という価値観の中で技術を磨いている。

よく殺陣とかで斬り合いをする時の「キン!キン!シャキン!」みたいな音もほんとの刀じゃないもので音を出してるんだよね、音響効果刀という名前だったと思う。気になる人は調べてみてください。

Artur M Puga - weirdbloom

よかったもの、Artur M PugaのEP「weirdbloom」。これ本当に良かった。このEPは楽曲から感情が感じられない。これを聴いた時それが僕にはとても嬉しいこと感じられた。喜怒哀楽に限らず、音楽は聴いた人にどういう感情やエネルギーを与えたいのか方向性が明瞭になっているものが多いと思う。しかし、このEPにはそれが全然感じられない。

今の書き方だとそれって良いことなの?って感想を抱かれそうだ。風景を眺めるようなことをイメージしてほしい。車窓から見えた雰囲気の良い山や川、風に揺れる木々、小川を揺蕩う水草、それらの景色は訪れた人に何らかの感情を生じさせるために設計されたものではない。―もちろん都市の景観設計とかは存在するのでその限りではないが―ただそこに在ることの嬉しさみたいなものを人間は日々感じ取っている。このEPもそれらの喜びに類するものを与えてくれる印象を受けた。自然の流転がそのままグルーヴになったような、無感情かつ、包容力と安心感のある音楽だ。

SLJ900/32

よかったもの、中国の超巨大重機SLJ900/32。これ面白すぎる。まだ道路が架かってない次の柱までぐいーんとせり出して着地し、またぐいーーーんとせり出して持ってきた道路を設置している。荒業すぎる。北京の重機メーカ北京万橋興業機械(北京万桥兴业机械有限公司)というところが作ってるらしい。面白重機といえばバケットホイールエクスカベーターだけど、世の中にはまだまだ面白い重機がたくさんある。

Backrooms - Level 232 (found footage)

よかったもの、Backrooms系のホラー。基本的にホラーはあんまり好きじゃないが(理由は怖いから)、これは良かった。広大なスーパーマーケットに誰もいないという不気味さも基本を押さえてるし、入り口が見つかるも血や泥で汚れていて誰かが試して出られなかったことがわかる塩梅も良い(しかもその試した主はもういない)。そして一番良かったのがラストに向けて聞こえてくる不気味な声。声の不気味さがちょうどいい。泣いているような、嘲っているような、感情があることはわかりつつも読み取れない底知れなさがグッドだった。

こんなこと言ったら野暮だけど、ファウンドフッテージ系って個人でも低予算で作れるから良いと思う。画質も悪くていいからアイデア勝負みたいな作品が出てきやすい。逆に言えばアイデア勝負できてしまうからこそ、ブレアウィッチやパラノーマルアクティビティ等が当たった時には死ぬほど後追いが出てきたのだが。

ファウンドフッテージそのものではないけど、POV系だと大学の文化論の講義で見た「REC」は面白かった。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

良かったもの、エブエブ。これは本当にすごい映画だった。家族関係もビジネスも冴えない女性が、突然宇宙の全可能性の運命を背負うことになり、多元宇宙を次々と跳躍しながら自らにあった無限の可能性と、目の前にある自分の人生に向き合って全宇宙を背負い投げするような映画。無茶苦茶すぎる。ラストシーンにはもう「よっしゃあああツッ!THE ENDォォ!!」というアオリすら見えてくる勢いだった。(こっちは打ち切りどころかアカデミー賞だが) 

じゃあド派手にドンパチやりまくるバカ映画かと言えば全くそうではない。アジア出身の女性が文化と国を跨いで生きる上で生じる微妙な摩擦だったり(これは”被”差別に限らないのが描写のうまいところだった。)、娘の思春期や世代間ギャップによる関係性のねじれ、家族観の違い、そういったものをテンポよく結んで、それぞれのキャラクターの内面のフラストレーションを描き出し、人格への深みを出しつつ多元宇宙の跳躍みたいなド派手な本筋をやってのけていた。実にアクロバティックだ。

物語が”そうじゃなかった未来”を描くとき、多くの場合感傷的になるだろう。しかし本作で描かれる”そうじゃなかった未来”は、数分前のほんの二択の境目で分岐したものから、人類史が丸ごと書き換わるレベルのものまで膨大にあるということが示され、「良かった未来」「良くなかった未来」というような二項対立を無効化している。(良かった、良くなかったという基準の価値観すら塗り替わっている未来が無数にあるからだ。) 結局その中で、自分の地に足ついた人生を見つめ直すという姿勢に出るのは、お約束でこそあれ、全く陳腐ではなかった。エヴァにおける人類補完計画や、コードギアスの「嘘のない世界」に対する各主人公と同じように、等身大の主人公をもって、堂々とその選択がなされていた。大変気持ちが良かった。ただ一点、新しいと思ったのは、大きな世界の変容を「拒否」して世界を今まで通りの形へロールバックするという表現ではなかった点だ。これはネタバレになるのであまり書かないけど、けっこうドキっとする描き方だったと思う。

それと、映像表現も凄まじかった。ド派手な映像というだけで言えばアクション映画等で他にも無数にあるだろうが、なんというか監督には「美しい表現とはこういうものなんだ」という確信があり、その確信に基づいて一切の迷いなく導き出されているようだった。各シーケンスにおいて、気持ち良いポイントというのが手に取るようにわかる。それだけストレートな美的感覚を感じた。ある意味庵野秀明と逆だろう。庵野秀明は「シン」シリーズのドキュメンタリーからもわかるように、自分の創造可能な領域からの脱出を常に試みている。庵野秀明にとって 美しいもの とは、もうほぼ 見たことないもの と同義になっているように見える。逆だからといって別にどちらが良い悪いではない。ただ、「シン」シリーズで感じた模索の魂とは別に、確信から描かれる表現を本作に感じた。

あと「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」ってそのままカタカナの邦題で良かった。ダサすぎる邦題がつけられていたら見に行ってなかったと思う。

「地獄へ落ちろ」スタンプ

よかったもの、「ハラスメントを効率化している」という恐山のセリフ。

sorting algorithms

よかったもの、ソートアルゴリズム一覧の動画。poniyamaが好きなアルゴリズム→マージソート。

まとめ

以上です。なんかネットばっかだな。もっとこう、本とかを読みなさい。
各段落時間的にとぎれとぎれに書いているので、文体が統一されていない。
よかったもの3 をやるかはわかりません。

それではまた。


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