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日記 #148「形而上未来人から考える人生」

・お久しぶりです。日記です。

・最近の調子はどうか?かなり悪い。精神科では普通に生活できてますと言っていつも通りの薬をもらうのだが、その実、全然調子が良くない。でも間違っていないのだ、普通に生活できている。食事を摂って風呂に入って、研修に出て、友達とチャットして、、。そういった生活の営み自体に支障が出ている訳ではないのだけど、僕という個人がちゃんと自律しているのかと問うと怪しい。気分が良くないと言うと簡単に聞こえるが(散歩したり美味しいものを食べたりして”晴らせる”ようなもののように)、最近の自分は、自我の内側の濁流に揉まれてなんとか呼吸できているようなものなのだ。

「認められたい」「承認されたい」といった以前からある欲求だけじゃなく「もう誰も俺を見るな」「俺というペルソナをすべて焼却して消えたい」みたいな感情も出現し、「俺ってどうしたらいいんだ」「何をすればいいんだ」、「自分を充足させるためには」「等身大の自分に満足するためには」「承認からの脱却」「自分の人生を生きるとは.…」数多の内面の問いかけの渦巻きに飲まれ、日々を穏やかに過ごすということが全くできていない。

「自分の人生を生きる」、つまり誰かに与えられた価値基準やルールを基に人生を”プレイ”するのではなく、自分が決めたこと・自分が大切だと思うことを内面の軸に据えて日々を享受する。僕に今必要なのはそれなのだけど、手にすることはできていない。

まず自分を縛る規範意識から脱出し、あるがままに自分を生きる。それが僕の当面にして永遠の課題なのだ。

・Dogenのこの動画を見た。本当に感動した。4分もない動画なのでぜひ見てほしい。

日本になぜ来たのか?それはアニメが理由だったかもしれないし特殊な文字体系を始めとした文化だったかもしれない、ゲームかもしれない。そうやって”本当”の理由を組み立て、語って見せることはできるかもしれないが、それは自分の体験の本質とは離れている。ただ一つ確実なこととして言えるのが「来てよかった」ということである。

動画は以上のように展開されるが、僕はこれに「人生そのものだ、、」と思った。あらゆる行動は一つの決定的な理由によって裏付けされ実行されるものではない。その時の環境や精神状態、複合的な要素が絡み合って行動は実行に移されることになる。振り返って「あの時はこう思ってたから実行したんだ」と言葉にまとめてしまうことはできるが、僕はそれが現実を精緻に写し取っているとは思わない。実行した後に、得た経験や感じたこと、自身に戻ってきた影響を省みることでやっと、やってよかった(またはやらなければよかった)という圧倒的な実感が立ち現れる。この実感こそが行為を語るうえで最もリアルな言葉だ。

僕が今悩んでいることにも繋がる。僕は何か明確で強い目的や信念を持たなければならないという強迫観念に囚われている。ただ、実際は曖昧で複雑な感情から手を伸ばしてみて、その与えられた初速をどうコントロールするかが重要なんだ。辿る軌跡はどういうものだったのか、それは後から考えればよい。

目的や信念を無理に掲げて行動なんかしなくてもいい。ただ目の前にある水面のごとき心の揺らぎを捉え、その揺らぎの赴くままに行動すればいい。行動のあとに振り返れば自分を守る経験や実感が現れる。自分の心の揺らぎを軽視して無理に言葉に落とし込む目的や信念という”槍”は、水面の揺らぎをかき乱す悪しき棒に成り下がる。

自分の人生を生きるために、もっと精進したい

・ショルダー肩美先生の新作、「ケイジカ」を読んだ。本当にめちゃくちゃすごすぎてくらってしまった。説明するのも野暮だからとにかく読んでほしい。劇中で語られるテーマはマンガという形式ならではの表現を通じて自己言及的に作用し続け、最終的に「だから何?」で終わる。この「だから何?」に至るまでの啓示的な語り口とその転倒の構造がすさまじい。でんじゃらすじーさんとクリストファーノーランを組み合わせたような作品だ。本当に凄すぎる。

もう少し内容に触れて喋ると、まず「形而上未来人」という発想がとても新しくて嬉しい。因果の流れに沿って目的から結果へと行為が流れるのではなく、無為に垂れ流された行動を逆算的に説明づけることで「行為化」し、そのメタ的な時間構造をとって「未来人」とする。荒唐無稽な主張にも見えるが、僕は先に挙げたDogenの動画と同じマインドをこのマンガにも感じ取った。

行動は何らかの強固な目的や信念によって一方向的に流れていくものではないという主張(このマンガではそれを”主義”とはしていないが)が、前述の「ただ目の前にある水面のごとき心の揺らぎを捉え、その揺らぎの赴くままに行動すればいい。行動のあとに振り返れば自分を守る経験や実感が現れる。」という知見にも繋がる。行動は時間方向的にも因果的にも縛られておらず、「ただそうであった」という現象を逆算的に意味付けすることすら可能なんだ。だからこそ、こうしなければ、ああしなければという(ある種)くだらない幻想に囚われることなく、内なる揺らぎを観察すればよい。

「”稲妻が走ったから”その瞬間はそれだけが本当のことなんだ!理屈なんかない!」良いセリフすぎるよ。

そして物語は主人公の語るテーマを回収するようにメタ認知的に折り畳まれていく。そして最後のオチへとつながる。そのオチを見て出てくる言葉は一つしかない。「だから何?」これに尽きる。だから何?意味がわからん。全く意味がわからないのだが、それがまさに愛おしい。形而上未来人によって「行為化」された過去は、必ずしも「目的」に回収される必要もないのだ。それを圧倒的な説得力と、どこまでも意味不明なオチで示している。

ショルダー肩美先生の普段の作品ははっきり言って怖い。超不条理系四コママンガで、登場人物の心理がまるで見えてこない超常的な作品ばかりなのだけど、今回は女性の松本さんも普通に可愛かったし、今國さんも意味不明だけど快活なキャラで魅力的だった。ショルダー肩美先生の作品の幅を見せつけられて感動してしまった。(普段の不条理四コマも好きですよ)

このマンガを人に見せたら「めっちゃネウロじゃん」って言われたんですけど、ネウロってこんな感じなの?だとしたらめちゃくちゃ好きだろうし読んでみようかな。


・同人サークル「Liminal Warp」を設立してコンピレーションアルバム「Nocturnal Edge」をリリースした。

アニメティックマテリアルを組み込んだLeftfieldベースミュージックというのがテーマで、全員がものすごい楽曲を作ってくれている。僕はアニメのセリフが聞こえる音楽が好きなので、世に存在するそういう楽曲の総量が増えたらいいなと思って主宰した。

シリーズ化して続けたいのだけど、思ったよりも「仕事」で倒れそうになった。連絡連絡連絡連絡連絡制作連絡です。もうちょっとやり方考えないとな。あと、僕は一人なのですべての責任と心労が僕だけに降りかかる。(あと費用も)

別にどうでもいいのだけど、Liminal Warpはレーベルではなくて同人サークルを名乗っている。アーティストの発掘やコンスタントな新音源のリリースは目的としておらず、あくまでも僕が好きなアニメマテリアルミュージックの数を世の中に増やすことが目的だからです。

よかったら聴いてみてください。あと仲間を募集しています。インターンに参加して頂いた後、書類選考を行い、3回の面接があります。

・最近みた映画やアニメの感想を少しずつ書いていこうと思ったのだけど、既に上に書いただけで3000文字を超えてしまったので、さすがに次回以降にします。

・じゃあまたね~




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