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水を見ると正気じゃなくなる娘

娘は前世は河童だったのではないのかと思うことが多々ある。

まず生まれた時だが、沐浴が半端なく好きだった。
余程産院で丁寧に気持ちよく洗ってもらえたのだと思うが、退院後に私がどんなに雑な洗い方をしても泣かずにホエホエ声を出してはしゃいでた。
(うつ伏せにした時に思い切り顔がお湯につかる、耳に水入る等子育て経験者より「3人目の育児並みの雑さ」と評価をいただいた)

そして生後8ヶ月の頃は当時住んでいた地域の保育園で水彩絵の具を手につけて、外壁にぺたぺた塗って遊ぼうというイベントがあった時は満面の笑みで絵の具まみれの洗い桶に突進し、止められると大泣きした。
その時は保育園の先生が新しく綺麗な水が入った桶を用意してくれ、他の子たちが絵の具で遊ぶ中ひとり堂々とおむつ一枚で洗い桶に頭から突っ込み水遊びに興じていた。

そしてちょっとアレな話だが夏は夫からクーラー禁止を言い渡されていたので昼に一度シャワーを浴びていたのだがその時も大はしゃぎでまぁ大変だった。
(この時私が全身汗疹だらけになり、病院を受診してからは28度なら付けて良いとされたが室内は常に33°をキープしており全くクーラーの効果はなかった)

水溜まりを見ては突進し、雨が降っていると散歩に行きたがり、夏は庭に出したプールでひたすら毎日水と戯れて生きていた。
12月の寒い時期でも公園のじゃぶじゃぶ池に嬉々として飛び込んでいく様はハリガネムシに寄生されたカマキリを連想させる程であった。

さてそんな水狂いの娘だったので水泳教室にでも行けばよかろうと声をかけたら意外にも「行かなーい」となんとも淡白な反応だった。
え?水だよ?泳げるようになるんだよ?前世の河童に近付くチャンスだよ?と聞くが本当に興味なさそうな顔で「でも行かなーい」としか繰り返さなかった。
もうすぐ4歳になろうという頃だったので早すぎるということもないし、水に顔をつける練習から始まるなら今頃が最適と思って声をかけたのだがどうやら違ったらしい。
結局その後も何度か「体験教室行ってみない?」「行かなーい」のやりとりを定期的に繰り返し、本人に行く気がないのならまぁいいかと声をかけることをやめた。

そんなこんなで半年経った頃だろうか、唐突に「水泳教室行きたい!」と言い出した。
保育園のクラスの子がちらほらと近所の水泳教室に通い始め、よく話題になるようで興味がわいたらしい。
ちょうど入会金や水着、スクールバッグが無料になる体験キャンペーンがあったのでまずはそれからチャレンジする事になった。

もうそこからは早かった。
体験翌日から風呂にゴーグルを持ち込み、毎日まいにち水飛沫をあげて娘は潜る練習に打ち込んだ。
週に一度の水泳教室で新たな練習法を学んでは風呂で実践し、しまいには鼻をつまみながらもターンを習得した。
嘘だろ私がターンを覚えたのなんて小学校中学年なのに…!?と戦慄きつつも見守っていたが、どんなに動きがスムーズになろうともマーメイドなどではなく河童が風呂場で戯れているようにしか見えなかった。

この子、水泳の才能があるかも…!?ではなく
「うーん、やっぱり河童」としか感想が出てこない。

今河童はビート板を使ってバタ足で前に進む課題に取り組んでいるらしい。
風呂で毎日「白い泡が沢山でるように…!足を…動かす!!」と唱えながらばっしゃんばっしゃん水飛沫を撒き散らしている。


こいつが4泳法をマスターする頃には頭の上に皿が乗っているかもしれないが、それはそれで楽しみである。

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