キャラクターを愛するということ



 キャラクターへの愛情表現というのは、当然ながら人によって違う。それがそのキャラクターを推していない人にとっては突拍子もないようなものに見えても……なんなら同じキャラクターを推している人にとってすら突拍子もないものに見えたとしても、やはりその本人にとってはそれが一番重要なことである。
 キャラクターを愛すること。キャラクタービジネスを運営する会社はその重要性が分かっているはずだし、分かっていなければいけないとすら思う。実際、我々プレイヤーからすると『運営』という相手は愛するキャラクターの生みの親であり、自分には到底知り得ない細かな設定や、隠された裏設定、膨大な資料を持っている相手であり、運営が用意した言葉はそのキャラにとって真実であり、我々プレイヤーというのはその運営から下賜された情報を集めて僭越ながらイメージを膨らませて二次創作をさせていただく存在でしかなく、それだけ運営の行動というのは重要なものである。
 つまりプレイヤーからすると、運営というのは我々よりもずっとキャラクターを深く愛しているはずの存在であり、そんな運営には敵わないのは分かりきってるけど、少しでも近づこうとするわけだ。台詞一つ一つを細かく読んだりして少しでも知ろうとするわけだ。

 だから、よもや設定を忘れていて矛盾のある台詞を喋らせてしまうなどというのはあり得ないことであり、あまつさえキャラクターを蔑ろにするような動きがあってはならない。
 とはいえミスは正直仕方ない。人間だもの。ミスして指摘されたらすぐ直す、それは仕方ないと思う。実際、ミナトが小さい頃に他の姉妹と一緒に海で遊んだ記憶があるという設定の矛盾(ミナトは1年前に作られたばかりで、それ以前の記憶がない)のことを指摘して要望を出した時は速やかに対応してくれた。
 しかし、運営が露骨にキャラクターを蔑ろにしているのは良くない。蔑ろにしていることをひとたびプレイヤーに悟られてしまうと、一気に冷められてしまう。ああ、産みの親ですら愛してないキャラに、どうして熱を上げていたんだろうとなってしまう。
 これは厄介な顧客の話をしているのではなく、キャラクタービジネスというものはそういうものだ。決められた設定に則った台詞や行動の一貫性がキャラクターに命を吹き込み、それを見て我々が好きだと思い、お金を注ぎ込むことでビジネスが成立するからだ。
設定にそぐわないスキルや説明・台詞は、プレイヤーからしてみると運営に対する不信感を産むものでしかなく、テキトーなことをされるとすぐに見抜かれる。キャラクタービジネスをやる以上はその点を再認識してもらいたいものだ。

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