大和魂スイッチと一億総火の玉ジャパン

日本人には古来より大和魂スイッチがある。これは令和の現代においても変わっていない。そのスイッチは滅多なことではオンになることはないが、一度大和魂スイッチが押されると、日本人は一億総火の玉となり一つの目的に向かって走り出す。

大和魂スイッチがオンになるときは国家が大ピンチになった時である。幸いなことにロスジェネ世代の筆者が過ごした平成は、国民全体が大きなピンチに巻き込まれることはなかった。阪神大震災や東日本大震災は多くの国民を失う国家的大惨事であったが、日本全土の国民が被害者になることはなかった。そのため、大和魂スイッチはオンになることはなかった。

しかし、令和になった直後、久方ぶりに日本人全員の身に厄災が降りかかった。そういまだに続くコロナ禍だ。

コロナは久方ぶりにジャパンの大和魂スイッチをオンにした。その結果、日本は法律による縛りなどなしで他国以上の異次元のコロナ対策を取ることに成功したのだ。法律で縛り上げようやくマスクやワクチンを接種させることができた他国に比べ、日本は要請や推奨などという法的拘束力は何もない”お願い”ベースの政府発信だけで驚異のマスク着用率や高いワクチン接種率をたたき出すことに成功した。

これだけみれば一億総火の玉になる国民性も非常時には悪くはないように感じられるかもしれない。しかし問題は一億総火の玉のなったあとである。一億総火の玉ジャパンの最大の弱点、それはハンドルもブレーキもないことである。ひたすら決められた方向へ走り続けることしかできないのだ。エンジンは世間様の目、という同調圧力だ。

結果として、ロックダウンや行動制限、ワクチン接種やがマスク着用が大した対策にはならない、それどころか行動制限が少子化を加速させるなどコロナ以上のマイナスになる、と欧米各国が気づきWithコロナ路線に切り替える現在においても、日本はマスクを外し過剰な消毒をやめることすら出来ていない。政府が必死にマスクや行動制限を訴えた欧米諸国とは真逆で、日本政府が必死に「野外のマスクは不要ですよ」「屋内でも会話がなければマスクしなくてもいいですよ」「5類にするのでもうそろそろ行動制限や対策全般やめてもいいですよ」と国民に過剰なコロナ対策を辞めるよう誘導する事態となっている。

もはや法律も政府も関係ないのだ。日本人を動かすのは世間様という神による同調圧力である。島国で培ってきた強烈な同調圧力は法の罰則などをはるかに凌駕する。世間様の目は神の目と言っても良い。大和魂スイッチが入った時、日本社会は世間様という神を崇める一神教の狂信者国家に変貌する。

そしてコロナの次に日本の大和魂スイッチをオンにしかねない全国民に関係する大きな問題が迫っている。そうコロナ騒動で加速した超少子化である。もしも、近い将来この少子化問題がにっちもさっちもいかなくなり、日本人全体に大きな負担が襲い掛かり大和魂スイッチが入れば、一体どんな世界に日本は変貌するのであろうか？