同居人のもんちゃん

ぼくの同居人もんちゃんは、仕事を辞めてから3ヶ月。相変わらずおうちでゴロゴロしている。

元気な時はお出かけをするけれど、そうでもない時はお布団の上でスマホを見てる。

それでも、夜ご飯は作ってくれるし、お洗濯もしてくれる。

そんなもんちゃん、たまにポツリと「ぼくは何もできない」と言う。

もんちゃんの作る料理はとても美味しい。

スパイスカレーを作ったり、ビーフシチューを作ったり、お豆腐にかけるタレを作ったり。

少しこだわりがあるみたいだ。ぼくは食べれればいいと思ってしまうタイプだから、毎日同じご飯でも平気だけど、もんちゃんは食べることが好きなんだと思う。

だからか、最近ちょっと太っている。それもあって、さらに自分が嫌になっているみたい。

でも、食べるのをやめると、本当につまらなそうにしている。だからもんちゃんはご飯を抜くダイエットをしてはいけない。

もんちゃんは定期的に靴掃除もする。

ぼくはちょっと面倒だけど、ぼくの分までしてくれるから、もんちゃんはそこまで嫌じゃないみたいだ。革靴のお手入れセットも揃っていて、しっかり順番通りにやっている。

そんなもんちゃんが「ぼくは何もできない」と言う。

大丈夫だよもんちゃん。十分できてるよ。むしろ普通の人よりできてるよ。

ぼくは心の中でそう思う。

たしかに無職になって、好きだった旅行もそんなに楽しく感じなくなって、何したらいいかわからないような毎日を過ごしていたら、そんな事も言いたくなるのかもしれない。

ぼくには想像できないような、色んなことがつもりつもって、本当にやるせないのかもしれない。

でもぼくは、そんなもんちゃんが何度も挑戦したくなるようなぴったりな仕事に出会えたら、これまでの嫌なこと全部爆発して、ものすごいことになるんじゃないかってひそかに楽しみにしているよ。

今日もお外はいい天気。もんちゃんは相変わらず気持ち良さそうに寝ています。



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