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海遊館編(4)視点、転、展。


巨大水槽、海月銀河と順路通りにふわふわ進み、海遊館の終盤戦。

その時、
この日一番の脳汁ポイントがすがたを現わした。
海月銀河で身も心もクラゲのようにぽわぽわになった私を待っていたのは、


特別展示『視点転展』


してん、てんてん、なんと気持ちの良い響き!
字面、音、共にやばい…。そして、これは絶対おもしろいやつだ…直感…いやいや、こんなの直感も何も、まんま面白いじゃん。こんなんやってんだぁ…知らなかったなぁ…かいゆうかん…恐ろしい子!!

頭蓋の中の小さじ一杯、酢みそ脳味噌の奥の奥、『理系!』と書きなぐられてある重厚な扉を内側から、凄まじい爆風で吹き飛ばし、中からのっそりと、筋骨隆々の大男が出てきた。
バカでかい昭和仕様のビデオカメラを肩に乗せている。そして、真っ赤なRECボタンにそっと指を添えながら、眩しそうに目を細める。


ふぅ…本気をださせおってからに…きっちり録画だ!!!!


それを皮切りに、つぎつきと酢みそ脳味噌の扉が弾け飛んでいく。

『哲学』の扉が吹き飛ぶ。
まったく…何年振りなんだぜ!扉を勢いよく蹴り上げた足をゆっくりと下ろしながら、テンガロンハットの男がチュッパチャップスを口に咥えながら颯爽と出てくる。

『生物学』の扉が爆風で吹き飛ぶ。
爆発と同時にアクセル全開バイクで飛び出す。窓から覗いてるだけじゃあ…いけないみたいだからなっ!!

『おすし』の扉が吹き飛ぶ。??…!!!!…うわぁ…間違えた、帰ります!

『マルチスピーシーズ』の扉は最も激しく吹き飛んでいった。
…か…火力を…まちがえちまったようだ…死ぬかと思ったぜ…さあ、はじめようか!!爆風で吹っ飛ばされてほぼ全裸で出てくる。

酢みそ脳みその小びとどもが、大きな手廻しハンドルをキャッキャ、キャッキャと一斉に廻しだす。ギチギチと錆びた音を立てながら重い海馬の門を開ける。

くるぞ、くるぞ、くるぞ……私の中で心地よい集中が始まる。


おどれ、わたしの好奇心!
目よ、耳よ、私の五感よ、しかと感じよ、脳に刻め!!













「じぶん」ってひとりだけ?
わたしのばあいは、いっぱい いるな。いっぱい。

私も脳はありません(涙)。



どこまでを「じぶん」というのか。
いい問い、答えは出さなくてもいい問い。

遺伝的に遠くなると、
さようなら。

なんかいい文章。


クラゲのじぶんは、誰も理解できない。
知るということは知らないが増えるということ。

私のじぶんも、きっとそうだ。




塩ビの筒をくるくる廻す…

わたしのじぶんは、そうとう はなひらく!!






わたしは、いつも 泣く から、 おとなです。
わたしは、いつも なく から、 おとなではありません。

おとなの筒も、子どもの筒も書いてある文言はおんなじ。
それなのにぜんぜん違う感じになります。

人間には、社会的な「おとな」、生物学的な成体としての「おとな」があるけど、社会的な「おとな」は外部との関係性で判断。生物学的な成体としての「おとな」は自分の身体の相対的機能性の変化で、ある種、線引できる。

ただ、精神的な「おとな」はよくわからない。そんなものがあるのかどうかも。じぶんの脳で感じる分には、私は対して変わらない。10歳の自分も今の自分も。
そんな気がする。



わたしは、ほどほどに サボる から、おとなです。
サボるってドキドキする。



わたしは、一心不乱に、 あそぶ から、おとなです。


わたしは、ものすごく 嘘をつく から、おとなです。
わたしは、ものすごく ちがいがわかるから、おとなではありません。

どんな組み合わせになっても、思うものがある。










「好き。」の反対が「にがて。」になっているのがたまんない。
しかも漢字じゃなくてひらがなになっている所も。

ペンギンの水は、大空である。

地上で飛べないペンギンは翼を羽ばたかせて水中を、飛ぶ。



わたしにとって水は、ひろい なみだ だから、好き。

ふしぎな文章。すきな文章。



わたしにとって水は、あふれる けつえき だから好き。





まさにパースペクティブ。視点、転転。
生物の世界の見え方は、個々様々。

この展示では、いろいろな生物の世界の見え方が体験できる。


目だけで見る世界。目と音で見る世界。
音だけで見る世界。
触覚で見る世界。


私の知ってる、知らない世界が待っている。






してん てんてん してきてる?







生きものたちのリズム。
心臓のリズム、呼吸のリズム、体を動かすリズム…




ここで明滅する生命のリズム。
冒し難いなにかを感じて、身体がこわばる。



この空間の放つ、生命の尊厳にわたしは、なにかを著しく消耗した気がした。

そして、生命をおもった。




そして、展示コーナーから外へ、出る。







してん てんてん してきてる?



つづく。

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