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すんどめも信じた道をいく(6)平安京カーチェイス



前回同様、石山寺豊浄殿にて、『石山寺と紫式部展』を観覧している。




石山寺縁起絵巻の紫式部関連の物が展示してある。

石山寺縁起絵巻第3巻。
私の走りメモには、藤原兼家(段田安則)道綱(上地雄輔)東三条院詮子(吉田羊)藤原実資(ロバート秋山)とだけ書いてある。




えっ、終わり!?……思い出せ、思い出せ…くぅ、思い出せない……!!

………おれ…何みたんだっけ……メモを書いてる時にはこれだけで再生できるとおもっていたらしい。たぶん、石山詣の様子が描かれていたのだと思うけれど曖昧。

あのときのオレよ、よく聞いてください。オレはオレが思っている以上に記憶力ないから、しっかりメモを。




石山寺縁起絵巻第四巻。
これはしっかりメモしてる。

源氏の間、文机より外を眺める紫式部の様子が描かれていた。おわり。

中身ゼロじゃんww
自分の乏しい感受性を改めておもい知らされる。


続いて『河海抄』なる書物。
〝明石と須磨の帖から書き始めた〟という記述のある「河海抄」という書物も展示してあった。まとめるとこうなる。

中宮の彰子から「式部よ、新しい物語キボンヌ」と依頼された紫式部は「石山寺に篭ればなんか浮かぶんじゃね」的なノリで石山寺に籠る。7日目に湖面に映る中秋の名月にインスパイアされて「今宵は十五夜なりけりと思し出でて…」と筆が走りだしたのだとある。

どうやらこれが須磨の冒頭らしい。でも、須磨って時系列的には光源氏が流される場面で、物語中盤のイメージ。紫式部の思考のプロセスを妄想する。平安貴族もアプローチの仕方は現代の我々と同じなんだなぁ、なんておもう。

そして創作の苦労も変わらないのかも。



様々な展示物を舐めるように眺めていると、源氏物語図屏風がデーンと現れた。



展示物の中で一際まぶしい六曲一双の図屏風。


霞で一つ一つの場面を区切ってある。
右隻には桐壺、箒木、若紫、空蝉、葵、紅葉賀。
左隻には澪標、絵合、野分、常夏、若菜上、若菜下。


源氏物語図屏風 葵の上

これは名場面!!葵祭の牛車バトル!『葵の上正妻』VS『六条の御息所』!!!

葵の上が加茂祭の行列に参加する光源氏をひと目見ようと会場にやって来る。しかしすでに会場は満席、場所がない!!

そんなときでもそこは左大臣家、権力腕力フルパワー。ベストポジションにスタンバってる身分の低そうな網代車あじろぐるまを発見すると、フルボッコにして弾き飛ばす。乗っていたのは六条の御息所ろくじょうのみやすどころ






迫りくる、左大臣家軍団『葵の上』  ひゃっはー!!どけどけぇい!!!


無念!六条の御息所の網代車が!!!


葵の上の手下どもは容赦なく車を壊す……どすこいどすこい!!


紅蓮の炎に包まれる六条の御息所たち……この世には神も仏もいないのか……


必死に逃げる六条の御息所!!はやく…もっとはやく……



なんでこんな目に合わなきゃなんないのよー!涙目でアクセルペダルをベタ踏み!!華麗にジャンプする六条御息所。


絶対に逃さない葵の上軍団!!攻撃の手はゆるめない!!!!

網代車を乗り換えて逃げ惑う六条の御息所と従者。




私達の恋路を邪魔するものはこうなる!!!六条の御息所を地獄の果まで追い詰めて網代車ごとフルボッコ。光源氏の手をとり颯爽と立ち去る葵の上……

↑↑だいたいこんな感じだと思う。




この屈辱を契機に六条御息所は生霊使いの達人になる。

なんで…なんで…私の方がさきに場所とっていたのに……なんで……

…サナイ……ゼッタイ…サナイ……ゼッタイ…ユルサナイ……ユルサナイ……ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ………



あおいのうえ、ぜったいに ゆ る さ な い !


かろうじて生き残った六条御息所…彼女の反撃が今始まる!!!!



結果、葵の上は六条の御息所の生霊に苛まれて死ぬこととなる。


解説を眺めながらググったり、人の解説に聴き耳を立てたりしながら知識で脳をチャプチャプにして(息をするたび、ぐんぐん減ってく)颯爽と「石山寺と紫式部展」をあとにする。


豊浄殿を一歩出ると再び、新緑が一斉に濃い酸素を浴びせてきた。

溺れるくらいの新緑に、足取り軽く先をゆく。




つづく。


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