クリエイティブリーダシップ特論 第14回

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論
第14回赤池学さん  講義日8/17

赤池さんについて

ユニバーサルデザイン総合研究所所長、武蔵野美術大学情報デザイン学部講師
1980年に筑波大学生物学類を卒業されています。現在はユニバーサルデザインに基づく製品開発、地域開発を手掛けられています。


今回はこれからのデザインやユニバーサルデザインについてお話を聞かせてもらいました。

イノベーションへのアプローチ

今まではイノベーションを技術に偏った視点で考えられていました。しかしピータードラッカーは「テクノロジーへの依存は非常に危険」と指摘しています。
これからは物語(インタラクション)をデザインすることを考える必要があります。デザイナーがデザインしようとしているものは名詞ではなく動詞、例えば「電話」(モノ)をデザインするのではなく「電話をかけること」(経験)をデザインするということです。

Design for ALL

70億人、そして90億人となる多様な地球市民たちとのシェア
次代のユーザーである子供たち、まだ見ぬ子孫たちとのシェア
次代に継承すべき価値を生み出した、なき先人たちとのシェア
人間を含めた、全ての多様なる生物、自然生態系とのシェア

多様なシェアを実現するためには、意味と価値のイノベーションを通じ、ステークホルダーとの補助線を引き直し、新しい価値の連鎖を想像する必要があります。

赤池さんが提唱するユニバーサルデザインを定義する10要件

1セーフティ(安全性)
2アクセシビリティ(接しやすさ)
3ユーザビリティ(使い勝手)
4ホスピタリティ(慰安性)
5アフォーダビリティ(価値妥当性)
6サステナビリティ(持続可能性)
7エキスパンダビリティ(拡張性)
8パーティシベーション(参画性)
9エステティック(審美性)
10ジャパンバリュー(日本的価値)

商品例

WILLシリーズ(コラボ
熱により、硬度が変わる形状記憶樹脂を利用し、誰の指先のにもフィットして持ち手がU字になっているバリアフリーカトラリーです。
3つの使い方があります。1つは2本のグリップを1度に握ることで握力の弱い人も握れるようになっています。2つ目はU字形のグリップに手を挟み込むように握ることで、握力の弱い人や手首の動きが不自由な人も安心して持つことができます。3つ目はU字形のグリップで手を巻き込むように変形すれば手首の動きが不自由な人や力の弱い人でもしっかりと持つことができます。

Light&GRANDMALE(コラボ)
握りやすく、軽いユニバーサルカトラリー「light」と、この「light」を三國清三シェフがプロデュースし、完成品質を向上させた「GRANDMALE」です。
中空構造になっていて軽量ですがふっくらと太めで持ちやすい形状になっています。
ユニバーサルデザインのものといえば見ていると機能を優先した結果、見た目がいまいちだったりするものが多いです。しかしこのシリーズはおしゃれで川上さんの介護用椅子「かたらい」の他の人と同じ形だけど必要な機能を持っていて使いやすいと感じました。

未来社会仮説

地球の物理的限界に対する認識の広まりと、情報の民主化が原動力となり、物質的な豊かさを追求人間中心の社会から、心と体の豊かさ、物質的な豊さを追求する人間の社会から、心と体の豊さ、快適さを求めつつ自然や社会と調和を目指す方向性へと変革することが予想されています。

 2000     〜2011       〜2015          〜2020〜  「自動化社会」>
      「最適化社会」>
               「自律化社会」>
                          「自然化社会」>
ポスト震災のターゲット
→Human Centered       →Nature Centered
 Technology                             Technology

終わりに

大学生の時の専任教授の専門がユニバーサルデザインでなぜ必要なのか、どのような考えがあるのか、歴史について学んできましたが今回は別の視点でこれからのユニバーサルデザイン、次の世代にどう残していくかを未来のためにどうすべきか学べ、過去ばかりに目がいっていて自分に足りていない点を気付かされました。
また自然化社会になっていくにつれ持っている心、感性を大切にして欲しいと仰られていたことが印象的で知識、理論だけではなくデザインを学んでいる学生だからこそ持っている感覚を大切にして研ぎ澄ませていきたいと思いました。
今回はこのようなお話を聞かせてもらいありがとうございました。


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