クリエイティブリーダシップ特論 第12回

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論
第12回上町達也さん  講義日8/3

上町さんについて

金沢美術工芸大学を卒業した後、ニコンのプロダクトデザイナーを経て、上町達也さん柳井友一3宮田人司さんの3名が中心のクリエイター集団、seccaを設立し代表取締役を務めらています。

今回は今までの作品とseccaの設立までについてお話を聞かせてもらいました。

seccaとは

伝統工芸など技術を持つ「職人」考え抜かれた美しさを創り出す「アーティスト」求められるカタチにアップデートする「デザイナー」が所属し金沢を拠点に活動されているクリエイター集団です。
受け継がれている伝統と最先端の技術を掛け合わせて新しいカタチを創造しています。

白山喜雨

アゴーラ・金沢のエントランスオブジェです。ホテルのコンセプトは「茶庭」のため、金沢の茶の湯を支える水の源泉である白山に着目されて製作されました。
春に降る雨と水で潤う白山を表現されていて白山の地形データから高低差を抽出し天井から金箔が施された花坂陶石が吊るされ地形を再現されています。

雨虹糸

金沢では雨の日が多く「弁当忘れても傘忘れるな」と昔から言われるほどです。そのような雨の日を楽しもうとコンセプトに作られた雨庵に展示されています。
過去6130日で雨量データを元に晴れの日は白、雨の日を7色に分けた計8色の糸を羅列し表現されています。

Landscape Ware

料理人への挑戦上として作られた食器です。建築家が大地の起伏から建物を考えるようにLandscape Wareを見て料理人がインスパイアを受けて新しい料理を作って欲しいという願いが込められています。
3DCADや3Dプリンターを利用しながらもそのままでは無機質なものになってしまうため職人が作ったときのしわや癖も取り入れながら創られています。

なぜseccaにいるのか

上田さんは金沢美術工芸大学を卒業後、大手カメラメーカーにプロダクトデザイナーとして入社されました。その際に長い時間かけてデザインした製品が次の年は型落ちして売れるように細かいところを修正して欲しいと要望が出されて疑問を感じたそうです。
東日本大震災が起きた後、人々が急に色の安全性に向き、本来なら当たり前のことが地震がなければ気づけない世の中へ疑問を持ち、上田さんの中でも生活の基本である食に対する意識が強くなったそうです。そして食とものづくりを掛け合わせたことをしたいという思いが出てきて思いついたものづくりと食が両立した金沢に移住しようとなり他のメンバーの方と集まり今のseccaが出来上がりました。

終わりに

伝統と最新技術(3Dプリンター)はよく切り離して考えがちだと私は考えています。しかしかけ合わせることで今までにない新しいものと体験が待っていて過去から受け継がれた技術がまた未来へと繋がっていきます。新しいことを作るとき、新しい考えや技術に目が行きがちですが伝統を取り入れ作っていくseccaは自分にとって大切な考えだと感じました。
今回はこのようなお話を聞かせていただきありがとうございました。


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