クリエイティブリーダシップ特論 第13回

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論
第13回藤井保文さん  講義日8/10

藤井保文さんについて

2011年にビービットにコンサルタントとして入社され金融、教育、ECなど様々な企業のデジタルUX改善を支援されます。14年に台北支社、17年に上海支社に勤務され、現在は現地の日系クライアントに対して「エクスペリエンス・デザイン・コンサルティング」を行われています。
2020年7月23日、「アフターデジタル2UXと自由」を出版し、シリーズ累計13.1万部の好評を博しています。

今回はアフターデジタルについてお話を聞かせてもらいました。

アフターデジタルの世界

オンラインがオフラインを覆い、元々オフライン行動だった生活全てがデジタルデータ化してして個人に紐付き、あらゆる行動データが利用可能な時代になっています。
利用シーン 日用品の買い物、飲食店の注文・決済、フードデリバリー 、シェア自転車、タクシー、信用のスコアリング

アフターデジタルの世界観

日本企業は「リアルにくっついたデジタル」として活用しがちですがオフラインが存在しなくなるとデジタル側に住んでいるような状況になります。デジタルがむしろ起点であり、「リアル接点というレアで貴重な場」をどう活かすかという考え方に移行します。

行動データの時代

行動データの時代
顧客x行動データの取得・活用によって、最適なターゲットだけではなく
最適なタイミングxコンテンツxコミュニケーションの提供が可能になり企業の焦点が「製品」から「体験」へ変化します。

  
 before
製品単体で価値提供するしかない
顧客→製品→製品
 
 after
体験全体での価値提供が可能に
顧客→デジタル接点→製品xデジタルxデジタル接点

アフターデジタル社会の成功企業が共通して持っている思考法がOMO(Online Marges with Oficeです。オンラインとオフラインを分けるのではなく一体として捉え、これをオンラインにおける戦い方や競争原理から考えます。

 before
・保険の営業マンは属人的で、個人で PDCAを回す
・アプリも営業マンのデータとつながらず個別に改善 
 
 after
・デジタル接点でのデータを営業マンやマーケターに共有
・ウェブサイト・アプリ・対面での営業 など顧客体験の全体を改善

芝麻信用

芝麻信用とはアリババが提供するモバイル決済アプリにアリペイに搭載されているサービスの一つです。アリペイはどこにでも使用され街の支払いから友達との割り勘、ホテルに泊まる際の支払い、保険料、公的支払いまであります。
アリペイで消費を経由することで信用スコアが加算されていきデポジットが不要になったり銀行でローンが組めるようになります。
この仕組みができた背景は中国には信用を表すものがなくお金を借りたくてもできない、むしろ正直者が損をするような社会でした。しかしいい生活習慣、ルールを守る、そういう人がいいサービスを得られるような社会になってほしいという願いから作られました。
テクノロジーとUXで消費者の行動を変えていく、マイナスからプラスへ変化していくデジタルがアナログの世界を良くしていく例です。
ただ権力と結びついて悪用されないように気をつけていく必要があります。

終わりに

オフラインだけだとぶつ切りだった世界がオンラインで途切れることなく体験が続き、利用者の行動が変わっていくそのように感じました。「オンラインが中心になりオフラインがより貴重になる大切になる」この言葉が自分では全く意識していたなかったためこれからの課題や自分でサービスを企画する際に重要視しておこうと思いました。

ニュースしか得られない中国の信用サービスのお話を最前線で関わっている方の講義を聞けて大変面白かったです。

今回はこのようなお話を聞かせていただきありがとうございました。


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