『汝、星のごとく』感想

2024年2月20日

『汝、星のごとく』読了。
こんなにも物語に引き込まれる小説を読むのは久しぶりだった。『52ヘルツのくじらたち』以来だろうか。
どちらも本屋大賞を受賞した作品であり、わたしが大好きな小説だ。

『汝、星のごとく』には様々なテーマが描かれている。青春、恋愛はもちろん、家庭事情、島と東京、カミングアウト、週刊誌、がん、不倫、ヤングケアラーなど。
わたしはどのテーマをとっても経験したことがないのにも関わらず、登場人物に感情移入することができた。読みながら何度も涙が出たし、苦しくなった。読みながら自分と重ねることもあった。

それは櫂が上京してしばらくたってから暁海と再会した場面。櫂は漫画が売れて生活が大きく変わっているのに、暁海の生活は全く変わっていないことに気づく。

この場面で、久しぶりに誰かと会うときに自分が全く変わっていない(成長していない)と面白くない人間だと思われるんじゃないかなと思ってしまった。今のわたしには、春休みに何もしないまま終わってしまうという焦りがあるので周りの人に失望されてしまう恐怖を感じた。深みのある人間、面白い人間だと思われたい。
暁海におけるビーズ装飾のように、自分の気持ちに正直になって自分なりの夢を見つけたいなと思った。

『汝、星のごとく』は心をとっても豊かにしてくれる小説だった。
『星を編む』という続編があるが、なんとなく読みたくないと思ってしまう。
続編には櫂はいないだろうし、暁海と櫂が好きだったからもうその2人が仲良く生きている姿を見られないと思うと今はなんだか続編を読む気にはなれない。
ただ、続きがあるのに読まないのは自分の性格的に気持ち悪いのでいつか読みたくなった時に読もうと思う。


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