見出し画像

精神科探訪②

2019年7月。前回のおじいさん先生とはマッチング不成立だった。もらった漢方が無くなることが不安で新たな病院を探したくて、おじいさん先生受診の翌日にはもう別の精神科に電話予約をした。

次の先生は、育児に理解が多少なりともある人、いやそれが分からなくとも女性特有の体のゆらぎ(生理とか加齢による体の変化)を分かってもらえそうな人がいいと思い、女医さんがいる精神科をスマホで探して電話した。

感じの良い受付女性に初診である旨を伝えると、「たまたまキャンセルが今出て、来週◯日の◯時なら空いています。それ以外は全て予約で埋まっていて1ヶ月後の予約しか出来ません」と言われた。

精神科あるある早く言いたい。

精神科あるある早く言いたい。

精神科あるある早く言いたい。

精神科あるある早く言いたい。

精神科はすぐ行こうとしても、予約いっぱいだから1ヶ月間は生殺しの日々を覚悟しなければいけない事多いー

(のちに精神科受診をする1-2ヶ月前が、最も精神的に危険な時期だと先生に言われた。確かにヤバかった。)

なんとか都合をつけ、そのピンポイント日時に病院に行くと、待合室に私以外に人はいなかった。今度は5分くらいしか待たされなかったので拍子抜けした。

名前を呼ばれたので緊張しながら診察室に入ると、白髪まじりで50代くらいのムーミンみのある女性が椅子にゆったり座っていた。

先生はコーヒーに漂う柔らかな湯気のような雰囲気。自分の、のんびりした性格(生理前以外)に合っていて、会話して10分もすれば安心感が出てきた。

特に先生を好きだと思ったところは、会ってすぐの私に、「あなたは鬱ですね」と診断を下さないいことだった。私の事を詳しく知るまで病名はつけないというのがよかった。

私は先生の質問に気負いなく、今の体と心に出ている症状を話すことができた。

鬱→薬→依存という偏見恐怖方程式が私の中で勝手に出来ていて、薬を飲むことに抵抗があった私の思い込みも受け入れてくれた。

処方された薬は

・漢方2種類(前回の先生から引き続き同じ)と

・デパス0.5mg(寝つきをよくする弱めの薬)の

計3種類。

漢方2種類はどちらも血の巡りをよくする効果。デパスは不安感を抑え、筋肉を緩めリラックスする効果があるそう。とにかく眠れない事が自分で解決できない事を知り、デパスを飲んでみる事にした。飲み始めの1ヶ月はよく眠れたが、段々耐性がついてきたのか効かなくなって夜何度も目が覚める。

また、薬飲むにしても漢方とかハーブとかなるべくネイチャーな感じで治したい、という私の意味不明な思いも汲んでくれて、デパスや漢方と併用してコスメキッチンで売っているメディカルハーブのチンキ剤(薬草成分が凝縮された液体を飲む)を使うことも受け入れてくれた。

こうして3ヶ月ほど、3週間に1度通院して体の症状を報告し、同じ薬をもらうルーティンが続いた。

私が「鬱になった理由が早く知りたい」と言うと、先生は、「まずは体調を整えてから。体の不調が消えたらカウンセラーと話しましょう」と仰った。結局カウンセラーの人まで行き着く事はなかった。鬱の原因は分からずじまい。

2019年9月、鬱をまだ舐めていた私は、なんか最近布団で寝込む事減ったし気持ちも前向きだしイケるんじゃね?と調子に乗り、以前の職場から誘われた、1ヶ月だけのパートに復帰した。

即裏目に出た。「自律神経の乱れで起こる不調なんだから午前中は家事しない、するとしても1つ。とにかく休みなさい」という先生のアドバイスに逆走した。9月末、仕事が終わる頃には、仕事のストレスにより精気をすっかり奪われ布団で動けなくなってしまった。

朝寝ぼけながらお弁当を作り、メイクをし、子供を幼稚園に送りそのまま職場へ行き、午前中週2.3回4時間のパート。その後ご飯かきこんですぐ幼稚園にお迎え。合間に子供の習い事が週4。仕事が終わった1ヶ月後、お布団の妖精と化した。普通の事が普通に出来ない。悔しい。自分が情けない。

1ヶ月のパートについて先生は、「この時期の社会復帰実験としては適した時期だったと思うし、まだ自分が働ける体ではないと分かった貴重な体験になったからいいのでは」というフィードバックだった。

そんなこんなで安心できる病院を見つけて僅か3ヶ月。いつものように受付で診察券を出したら、いつになく受付女性が私をアツく見つめてきた。察した私は見つめ返すと、彼女は気まずそうに言った。

突然ですが病院が2ヶ月後に閉院します。

理由も明かされないまま。私の心の拠り所が無くなる。必死でよじ登ってきた蜘蛛の糸が切れる。既にカウントダウンが始まっている。新たな糸に飛び移らなければいけない。また病院を探し直す不安な気持ちでいっぱいだ。

でも仕方ないので現実を受け入れ、またも別の地域の女医さんの病院を予約した。貰ってる薬が無くなるタイミングである3週間後に初診予約をしたら、「あ、結構先ですね」と言われた。そんなすぐ見てくれるのか?

初診予約にすぐ対応してくれる病院もあるのかな?と思った。精神科あるある早くも崩壊。

院長の女性であるテキパキした声に一抹の不安を感じながらも、病院に行くことにした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?