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ツユ


愛したものたちは形を変えて


王妃になったり

化物になったり

骨になったりしていました


はたまた少年のままのものも在る


今の私は何になったのでしょう





あの日は雨の通夜でした


ユリを好きになったのは


骨になったあの子が

shiroのホワイトリリーの香りを好んでいる、

と知ったからで




でもあなたの棺に入れた花が何だったのか

わからないまま私は23歳になり

あなたを追い越した





決意も 約束も 努力も 愛情も

すべてが無駄になってしまったね

何も無かった様な顔をして過ぎ去る日々に

あの日よりずっと馴染めるようになってしまって


なんだかもう

「人より少しだけ 平気な振りをするのが上手みたい」

では済まされないところまで来てしまったのかもな



思う




思うだけで







いま私がどこにいるのか

まるで見当もつかないのでした



きっともう真っ当には生きられないのでしょう

最低になりたくない、と想うことは最低な事で

最低な人として

毎日懺悔をしながら生きている



私はまだ

最低な人であることよりも

死ぬことの方が怖いらしくて




死にたい理由が明確に定まらないまま

漠然とした絶望と

増えていくようで減っていくだけの日々を




生き延ばして





お焼香をあげるから

早く死んでよ ねえ





私に私が殺せないなら

私は誰を殺せば良いですか


誰を殺したら

誰かが私を殺してくれるのですか





あなたは誰ですか

私はなにですか

君はどれ

ねえ なぜ どうして














通り雨がずっと続けばいいと思った

世界の常識を逸脱する何かが

世界を壊してくれたら



そしたら













私はやっとあなたに

面と向かって



「だいすきだよ」



と言える気がした




星の裏側で待ち合わせをしよう

誰にも気づかれない暗闇の中でも

きっとあなたを見つけられる











Fin..


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