見出し画像

眠剤遊びで爆睡した話

中島という悪い友達がいた。
その頃、中島は就活がうまくいかないストレスから不眠症になり精神科で眠剤を処方してもらっていた。わたしのツイートで中島のことを知る人は彼のそんな繊細な一面に驚くだろう。わたしは逆だ。この頃はまだ、こんな繊細なやつがあんな傍若無人なやつだとは思っていなかった。
そんな中島とは当時は月1〜2回ほど会っていたと記憶している。ドライブしたり、悪いことをしたりなどセックス以外のこともした。

その日は悪いことをする日だった。
「眠剤で遊ばない?」
そう言って中島は処方された錠剤をカバンから取り出した。中島によると、それをすり潰して飲めばハイになれるらしい。そのハイってやつがわたしにはいまいち分からなかったのだが、その道のプロに委ねることにした。
中島が錠剤を潰すための道具を貸してほしいと言ったので、わたしは家にあった小さなすり鉢とすりこぎを出した。初めてすり鉢を使った中島はその便利さに感動していた。実に楽しそうに錠剤を潰している。
「これ、今度海外行く時持って行くわ!」
「何に使うの?」
わたしの質問に、中島は笑顔で「コカイン!」と答えた。わたしはそれ以上何も訊かなかった。そして後日、中島は乳鉢と乳棒をAmazonで購入した。

錠剤が粉々になると、それを酒に混ぜて2人で飲んだ。こういった向精神薬は犯罪防止のために液体に混ぜると色が付くと聞いていたが、それはもう毒々しい程の青色だった。何ならすり鉢とすりこぎにも色がついてしまい、しばらく取れなかった。
効き目が出てくる前に2人でベッドに入る。中島からは、眠気が来ても耐えるようにと言われた。それを乗り越えると、日常では得られない何かが得られるらしい。

ーー行くんだ、ピリオドの向こうへ。

気がつくと、時間は深夜を回り薬を飲んでから数時間が経過していた。中島はリビングで煙草を吸いながら、目を覚ましたわたしに「起きた?」と声を掛けてきた。
「ごめん、わたし寝ちゃった……。」
全く記憶がなかった。いつ寝てしまったのかも分からないどころか、眠気が来たことすら分からなかった。
「ぽむさん、割とすぐ寝たんだけど。」
完全敗北だった。中島は笑いながら煙草を消すとベッドに入ってきた。
「話しかけたらなんか言ってたから電マ当ててみたんだけど反応なくて、とりあえずそのまましちゃった。」
驚いたことにわたしは寝ている間、セックスしていたらしい。万が一寝てしまったら好きにしていいとは伝えていたが、全く分からなかった。
薬を使われるとこういうふうに自分が知らない間にレイプ(この時は事前に同意があったのでレイプではないが)されてしまうのかと衝撃を受けた。
「そのあと『おしっこー』って言ってトイレ行ったの覚えてる?」
もちろん覚えていなかった。わたしはそれまで酒を飲みすぎて記憶を失うような経験をほとんどしたことがなかったので、自分で自分の行動を把握できていないことが少し怖かった。
「え? なんかわたし変なことしてなかった?」
「うん。その後放っておいたらお尻突き出して寝てたからムラついてもう一回中出しした。」
全く(以下略)
わたしは意識を失っている間に2回も中出しされていた。まったく意識がなければ反応もない女に2回も出した中島も、それはそれですごい。
そして、それを聞いたわたしは残念なことに興奮してしまっていた。わたしは物のように扱われるとどうしようもなく興奮してしまう性癖があった。根っからのドMなのである。
自分でも濡れてきているのがわかり、セックスしたくなってしまったわたしは中島におかわりセックスをお願いすると「え、やだよ疲れたし。」とあっさり断られたのだった。中島とはそういう男だった。

わたしは悶々としながら再び眠りについた。
中島はすでに寝息を立てており、どこまでも自分勝手なこいつが少し腹立たしくもあったが、寝顔が可愛かったのでどうでもよくなってしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?