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第二章 天草四郎時貞との出会い


島原の街を彷徨う輝は、不安と興奮の中で自分が置かれた状況を理解しようとしていた。そんな輝の前に、若き武士の姿をした男性が現れた。彼の姿勢は凛々しく、目には強い意志が宿っているように見えた。


「お前、見知らぬ顔だな。ここはお前の地元か?」男性が輝に尋ねた。


輝は言葉に詰まり、彼の質問に答えることができなかった。ただ立ち尽くし、その男性の姿を見つめていた。


「どうした?口が利けないのか?まさか、江戸の言葉が通じないとは言わせないぞ!」男性が厳しい表情で輝を見つめた。


その時、ようやく自分がどうしてここにいるのかを理解した。輝は江戸時代にタイムスリップしてしまったのだ。しかし、その事実は、ますます混乱させ、焦りを増長させるばかりだった。


「すみません、僕は輝。目が覚めたらからここにいた。あなたは誰ですか?」輝が言葉をつむぐ。


男性は輝の言葉に不思議そうな目で見つめた。「お前は孤児か?そうか輝か、珍しい名だな。私は益田四郎時貞と申す…が今は天草四郎時貞と名乗っている。この地で島原の乱を率いる身として、お主が何者かも知らぬし目的が何かも知らんが、私と共に戦ってくれるか?」


輝は時貞の言葉に、天草四郎時貞?島原の乱の天草四郎時貞?!歴史の勉強で学んだ人物が目の前にいるのか?と驚きと同時に彼の熱意と勇気に感銘を受けた。そして、いまは情報を集めなければならない…。と心の中で決断し、時貞と共に行動する覚悟を固めた。


「私も戦います。力になれると信じてください!」輝は胸を張って宣言した。


時貞は微笑み、輝の言葉に感謝の意を示した。「ありがたい。では、一緒に戦おう。島原の乱の真の勝利を目指してな!」彼は輝の肩を力強く叩いた。


この出会いが、輝と時貞の友情と絆の始まりとなることを示唆していた。

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