#4 クイズがクイズじゃなくなるとき。

ふと立ち寄ったトイレ。
電車の合間に長く乗車することを見越してあらかじめ済ますために寄ったトイレ。
時間がそこまでないので素早く小の方で用を足す。
ほかに人がいないので目の前にある張り紙は自然と目が向かった。
「いつもきれいにしていただきありがとうございます」。
…この文言、聞いたことある。
一番最初に知ったのは、実家の近くのスーパーにあるトイレ。駆け込んだところに貼ってあった。
「なるほど、この言葉は粋ですね。」
微笑みながら手を洗って出たことを覚えている。
そして、2回目に見たのは、なんとテレビの中なのである。
Sま田Sん助の司会で放送されていた『島田検定!! 国民的潜在能力テスト』という番組である。
「トイレの利用状況が格段と良くなった張り紙、何と書いてあるでしょう?」というクイズである。
見たことあるので自分はスムーズに答えることができた。そして正解であった。

そこからしばらくして。
このようにもう一度この言葉を見るようになった。
…いや、いたるところで見るようになった。
10個トイレに入ったら8~9個でこの張り紙を見る。残り1個は昔ながらの登記プレートの「もう一歩前へ」。
最初に見た時は粋と感じた。
2回目は希少さととっつきやすさからクイズになった。
テレビの力でこの言葉が広がり,こぞってマネするようになった。
こうして、この言葉は「常識」とも言えるくらい知名度が上がり、
知ってて当たり前、ともとられるものになった。

こうして、一つのクイズが世の中から消えてしまった。
…と、考えすぎた。


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