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『タロットの神秘と解釈』レビュー

松村潔著の『タロットの神秘と解釈』。ネットで本を買う人も多いと思いますが、この本は巻頭のイラストなど、手に取った時の喜びが大きいです。どんな本なのかレビューしていきます。
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↓ 忙しい人には目次だけで何となく分かるようにしています。

世界脱出マニュアルとしてのタロット

本の半分以上を覆っている赤茶色の帯には「タロットカードを占いに使うということが気に入らない」という松村潔氏の言葉が大きく書かれている。この本は占い用の解説書ではないという警告のようでもある。
松村潔氏は占い用の解説書も出しているが、この本はそういった要素をすべて排除して、松村氏が以前から考察していた、タロットは神秘主義的な経典であるというスタンスで書かれたもの。帯の裏側には以下の言葉が載っている。私はこの一文を読んで、感動と武者震いがした。

私は今回の本で誠意を尽くした
あとは読者がそれぞれに体験してほしい
そして、本来の「人間」に回帰してほしい

ホドロフスキーの本を意識して、カモワン版を基準に書かれた

この本は、松村氏がアレハンドロ・ホドロフスキーの『タロットの宇宙』に触発されて書いたもので、各カードの解説にも、毎回ホドロフスキーの見解が参考に出されている。松村氏はこの本を読むときに、ホドロフスキーの本も参照すると良いのではないかと言っている。しかし両方とも分厚いので、私は松村本だけを読んだが、もちろん問題はなかった。読み比べながら進むとより面白いのかもしれないが。

ホドロフスキーは、フィリップ・カモワンと一緒にマルセイユタロットの本来の復元を試みて、カモワンタロットを作った。松村氏はこのカモワンタロットがなかったら、タロットの真相は不明な部分がもっと残されていたかもしれないと言っており、『タロットの神秘と解釈』も、カモワンタロットを基準にして書かれているものだ。カモワンタロットを持っていない人は、できれば購入すると良いと思う。

小アルカナも含めた全78枚の解説

内容は、大アルカナと小アルカナを合わせた全78枚について、それぞれ細かく書かれている。松村氏が大アルカナについて、哲学的な解説をした本は、『数の原理で読むタロットカード』や、CD付きの『タロットパスワーク実践マニュアル』など、今では中古でしか手に入らないが今までもあった。しかし小アルカナについては珍しいのでぜひ手に取ってほしい。大アルカナも、これでもかと深堀りされている。

松村潔のタロットイラストと、豊富な巻末資料

巻頭には、松村氏が描いた大アルカナのイラスト22枚がカラーで載せられている。松村氏は常々「絵は下手ウマが良い」と言っているが、このイラストも下手ウマで味がある。
今までも、自身が描いたタロットカードMatsumura2008タロット(大アルカナ22枚+4枚、小アルカナ56枚、計82枚)を出したり、『タロットパスワーク実践マニュアル』にはヘブライ文字を絵として入れた大アルカナのイラストを載せているが、今回のはカモワン版に忠実で、しかしデフォルメ的でもある。

また、巻末には松村氏が解説に使っている体系の資料が載っている。十牛図、チャクラ対応図、生命の樹(松村氏の説明とは一部異なる)、タロットパスワークの図、生きとし生きるものの図、エニアグラム、360個のサビアンシンボルがすべて載っている。

お勧めの読み方

松村氏は、この本を読んだら、あとは読者がそれぞれに体験してほしいと言っている。頭で読むだけではなく体験してほしいと。このような知識をむさぼりたい人にとっては、読んでいるだけで楽しいかもしれないが、私の経験としては、タロット探索を実践しながらのほうが、何倍も自身の中に浸透しやすいと思う。それは頭での理解度の話ではなくなってくる。頭で読んでいた知識が、探索することで心にまで降りてきて、そしてだんだん生活にまで染み込んでいくのだ。その生活はもはや一般的ではなくなる。そしてタロットを生きることになる。

お勧めとしては、タロットのパスワークや瞑想探索、夢見をしてから、そのカードのページを読むというのが良いと思う。読んでからやるのではなく、まず体験してから読むほうが良い。分厚い本なので、1日1枚、計78日かかっても良い。楽しいタロットライフを送ろう。

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