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ユダヤ諸語のはなし

仕事で疲れた時は泣くと良い。

疲れていても、涙を流すとリフレッシュするので泣くために映画のワンシーンを見たりしている。今日の朝は起床しても気だるさが抜けなかったので、『シンドラーのリスト』の最後のシーンを見た。なぜなら名作の映画のラストシーンは泣けるものが多いからだ。「黄金のエルサレム」を聴きながら、現代の実際にシンドラーに助けられた生存者たちが登場するのは何度見ても感動する。

1.色んな言葉のユダヤ人

 ところで、映画に出てくる登場人物はドイツ人だろうとユダヤ人だろうとなめらかな英語をしゃべるが、現実のユダヤ人は出身国、出身コミュニティーにより様々な言葉を喋る。ヘブライ語を喋らない人もいる。場合によっては出身国の多数派言語と異なる独自の言語を喋る場合もある。ユダヤ人と言う一つの民族だけで多様な言語を話す民族は地球上、類を見ない例ではないだろうか。

2.色んなユダヤ諸語

  独自の言語には色々ある。例えば今年2019年の10月に福岡で行われたポリグロットコンファレンスでは「イディッシュ語」の講演があった。イディッシュ語はざっくりと言えばドイツ語の方言がヘブライ語と混じった言語だと考えてもらえばいいと思う。また、僕は他の某所に趣味でブログを投稿しているのだが、そこではラディーノ語という、スペイン語とヘブライ語、中東の言い回しや単語が混じった言語で書いている(うまく書けているのかはわからない)。だが、言語そのものはユダヤ的な雰囲気は控えめだ。古風なスペイン語にそっくりであることに加え、トルコ語からの借用語が目立つ。その一方で、イディッシュ語と比べてヘブライ語の単語が登場する頻度は低めのように思う。

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 中央アジアや中東にもユダヤ人のコミュニティーがある。今年の秋の初めに訪れたウズベキスタンでもタシュケントのような都会でシナゴーグを見た記憶がある。古都ブハラではイゾーグというタジク語とロシア語を喋るおじいさんが管理するシナゴーグも訪問した。そこでは伝統的にブホリ語と呼ばれる言語が地域コミュニティーで使われているとのこと。ただ、個人的な感想としては、ビデオを見ても耳で聞く限り、タジク語にしか聞こえないのだが。

  さらに、実際に僕自身は会った事は無いのだが、世の中にはインドのマラヤラム語をヘブライ文字で書くユダヤ・マラヤラム語やアゼルバイジャンの山奥に住むタート系ユダヤ人のジュフリ語など、出したようなユダヤ系の言葉が存在しているらしい。これほどまでに世界中の様々な地域に行き着いたユダヤ人が土着の言葉と自分たちのヘブライ語をブレンドした独自の言葉を発展させたことは驚愕すべきことだと思う。このような語族が全く異なっていても、民族的なユダヤ人が独自に発達させた言語を一括して「ユダヤ諸語」と呼ぶ。恐らくユダヤ学のような民族学的な見地からであろう。

3.不屈の魂の言語

 僕はユダヤ人ではないが、彼ら流浪の民の言語に興味を強く持つのは、どんな土地であろうともどんなに異教徒に囲まれても必死に自分の民族のアイデンティティーを失わない不屈の魂に強く惹かれるからかもしれない。

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