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悶々としているオタクがリョクシャカの音楽に救われた話

コロナ禍コロナ禍ととにかく今年の3〜5月頃は鬱々とした日々を過ごしておりました。

そんな干からびそうな心に水を注ぐかのように、救ってくれた音楽のお話。

私は外出を我慢しているのにあの人は我慢していないし…やら、あの人はテレワークができる環境だけれど、こちとらテレワークができないから毎日出勤じゃい!などと、ふてくされる毎日。

他人と自分を比較しては落ち込むし、何より心の中であっても他人にケチをつけているような器のちっぽけな自分が嫌いになる。他人を攻撃する自粛警察の人たちのようにはなりたくない。でも、自分の心の中はほとんど自粛警察の人と同じなんじゃないか。

そして、他の人が悪気なく発する言葉で自分がいらいらを募らせるように、自分の発する何気ない言葉で傷つく人がどこかにいるんじゃないか。そして、私がそんな思いからだんだんと言葉を控え始めるのと同じように、私に気を遣って言いたいことが言えない人も現れるんじゃないか。

私がツイッターから離れている理由のひとつでもあり、もしコロナ禍がなければツイッターから離れようなどという考えも今回起きなかったかもしれません。災害時に良かれ悪しかれ人の本性は表に出るものだなあと思います。

そんな私の暗い心をあたたかく灯してくれたのは、緑黄色社会さんの音楽でした。

iTunes Storeを何気なく見ていた私の目に止まったのが、初のアルバム『SINGALONG』を出した緑黄色社会さんのページ。何度か試聴しましたが、長屋さんの力強い歌声に惹かれ、曲調も明るく励まされるものばかりで、聴いていて元気をもらえるように感じ、迷いなく購入しました。

一番胸に刺さったのは、sabotageという曲です。

「そんなはずはない だって 集めてきた
 好きなモノやヒト あれ なんだったっけ」

この歌詞にはどきりとしました。ツイッターで様々な人の言うことの流れを汲み、何度も何度も自分の言いたいことを載せたツイートのボタンをキャンセルし、人の流したツイートに義務感のようにいいねをつける。「あれ、私はこれが本当に好きだったっけ」「私の本当に好きなものは何だった?」と心の真ん中に直球に届く問いに、はっとさせられます。

人に合わせることで、自分の好きなものを見失いかけるオタクに、さらに目を覚まさせるように、怒涛のようにやってくるこの歌詞。

「まだ間に合うかな
 私このまま消えちゃわないように
 刻むの」

そうだ、ツイッターから距離を置いて、タイムラインに浮上しなくなったからといって、私は「消えた」わけじゃない。みんなの見ている世界からはいなくなったかもしれないけれど、私はまだここにいる。オタクをやっている。好きなものを自分の好きなタイミングで「好き」と言うためにこうしているんだ。まだまだオタクをやめたくない。書いていたい。そんな想いが、自分の中から一気にほとばしるように、リズムと共に溢れ出てくるように感じて、初めてこの歌詞を聴いたときは泣きそうになったし、今でも聴くと、泣きそうです。

「何もできなくたって 持ってなくたって
 追いかけてる今が楽しいんだって思えたの
 きっと浮かれている
 だけど輝いてる
 ああ 生きている」

これまさしく才能がなくても好きなものを追いかけている瞬間が楽しいんだって開き直るオタクの心情を表した歌詞では…とどうして思ってしまう(もちろんある固定層にだけ向けられた歌詞ではないのだとわかっております)。だけど、これを聴いたとき、本当にそれが生きるということなんだって、これを取り上げられた私は私でなくなってしまう、好きなものを奪われたらそれはもう生きていると言えるだろうか、と強く強く思うのです。

この曲はドラマの主題歌でもあったようなのですが、こんなに迷えるオタクを導いてくれる歌詞もないんじゃないかと思いました(もちろんオタクにだけ当てはまると言っているわけではないです)。

sabotageの次に収録されているMela!も大好きです。

「今なんじゃない?
 メラメラとたぎる
 こんな僕にも潜む正義が
 どうしようもない衝動に駆られて
 ほら気づけば手を握っている」

「こんな僕も 君のヒーローになりたいのさ」

もう大好き〜!!!!!ってなります。みんなのヒーローだなんて大それたものになりたいんじゃない、ただただたったひとり、あなたのヒーローになりたいんだっていう、今までくすぶっていたけれど、芽生え始め、確実に今形を成そうとしている想いが、爽やかに歌われています。これをイメソンににして話を書きたいなあという思いがむくむくと湧いてきます、オタクとしては。

恋心を歌っている曲としては、「一歩」や「幸せ」が可愛らしくて好きです。「スカーレット」は聴くと、赤い電車に乗りたくなる…。(今、電車にできるだけ乗るなって言われているから余計に…)

Shout Babyは中高生ならではの憧れというか、ライバルに向けたまなざしというか、「あいつに見てもらいたいから変わりたい」っていう気持ちがみずみずしくて、ああっいいなあ〜って思います。(社会人になると失われていく思い…)

それから、個人的にはドラマチックな曲が大大大好きなので、inoriが本当に好きです。

「今夜も何処かもう一度あなたと出会える夢を見てる
 何もできずに 何ができるか 考えてる
 何周目かの灯台下照らし
 意味がないはずないさ Tonight
 いつか何処かどうにかあなたと笑えるようにやり直して
 見つからない 見つからない
 鳴らし続けるだけのサイレンだ
 見破れない 見破れない
 種も仕掛けも何もない 真実が」

うわあ〜!!!!!(大好き)

もうこれはこれを題材に何か書きたい…!ってなります! 創作意欲がくすぐられる…

夜でもサイレンが鳴っていそうなサイバーパンクの世界の中で、夢の中でだけ出会う切ない、いつか現実でも出会いそうな(だけど、出会うときは幸せな出会いでなさそうな予感がする…)運命のふたりの話……え〜めちゃくちゃ書きたい、です…。

こんなふうに、私はこの大変な時期を緑黄色社会の音楽に救ってもらいました。本当に趣味とか、芸術とかって、大切だと思います。生死に直結しないと言われますが、ないと心が死ぬと思います。

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