家庭が職場だけど、2つの国ではたらく女。
「コロンビアで料理系習い事ビジネスやるとしたらどうなるか、プロポーザル書いてみて」。
忙しい夕方に申し渡されたメッセージ。
主観的にも客観的にも7割主婦で、毎日家事育児で体力がすべて奪われている日々。家庭が第一の職場。だけど忘れてた。私は仕事もしてたんだった。会社を経営していたんだった。それも日本とコロンビア2つの国で。
新しい宿題を言い渡された気分で、眠気に蓋をして子どもの昼寝中軽く調べてみる。後回しにすると気が重くなる。そして、できるときにやっておかないと常に思考の片隅から片付かない。
コロンビアの料理教室の値段相場。オンラインの頻度。少人数として価格に何を含めるか。講師への謝礼。うちの会社の持ち分。年に一度出張するとして、講師分ビジネスクラスと仮定するといくらかかるのか・・・。捕らぬ狸の皮算用、絵にかいた餅。だけどシミュレーションしないと自分が納得できん。必死でキーボードをたたく。果たして勝算はあるのか。そもそも日本とコロンビアで材料が違うのに、講師が違う材料で作ったものを教えるのってあり?
「いや、私だったら受講するかなぁ」「でもまぁ、何事も初めてだしパイロット版ということではありなのでは・・・」。そういえばどこかの研究者が「できるという観点から立つと、できる」と言ってた。2杯目のコーヒー淹れるついでに冷蔵庫を覗く。すべての主婦が、「週末までに冷蔵庫をスッキリさせる」ことを命題に生活してると思うんだけど、我が家も例外ではない。だからたかが生姜一つでスーパーまで行くパートナーにむっとすることってあるんだよねー、ってまた話がそれた。
珈琲を持ってダイニングテーブルに着くと、コンサルの顔に戻る。
面白いことに、あまりに未知な案件で最初足がすくんでも、スコップで掘り続けていくうちに必ず実現しているのだ。はじめからできると自分を盲信させなくとも。
物事は細分化するといいという。今回私が感じている懸念は、
①集客できるのか
②コロンビアでプロ製菓で開業までサポートしたいけれど、営業許可とれるのか
③講師が教えられるのか
④材料はどうするか
⑤ビジネスとして成立するか。
①は、多分大丈夫。月1万として、興味あって起業したい主婦はわりといるのでグループつくれるはず。
②も、ネットショップ含めれば悲観的になる必要はない。やましいことしてるわけじゃないので、言われた書類出せばおりるはず。
③ここもうちの会社が通訳翻訳で適宜サポートすればできる。月イチで生配信もありだろう。
④ここが一番のネック。粉モンだとしても、材料を空輸するか? それともコロンビアで現地調達してやってみるか?
⑤気づいたらボランティアってのは今までのパターンなのでこちらは避ける。
女性はマルチタスクが得意だという。私も一つよりも、わりとあちこち同時に進めるのが好きだ。
多分、このプロジェクトはできると思う。そう感じたら、①から順に淡々とやってみるだけ。
1年後、5年後はどうなっていたいだろうか。私はコンサルでもありエッセイストでもあり、相変わらず好きな場所で好きな人に囲まれて暮らしている。
でもそこに、日本からヒントを得たコロンビア特有のスイーツがあったら、きっと嬉しい。
その5年後のために、今種蒔きしてるだけ。淡々と。
主に書籍代です。