2017 順天堂大学 医療看護学部 推薦入試 小論文 模範解答

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2017 順天堂大学 医療看護学部 推薦入試 小論文 模範解答


メロスは悪い夢を見たと述べ、自分が三日の間に戻ってくる約束を果たすことができないと一度は諦めかけたことをセリヌンティウスに告白している。つまり、セリヌンティウスとの約束や信頼を裏切ろうとしたのだ。したがって、その責めを受けなければならないと考え、メロスは自分をセリヌンティウスに殴らせた。他方、セリヌンティウスもメロスに対して、三日の間に一度、メロスが本当に戻ってくるのかと疑いを持ったことを告白している。それゆえ、その責めを受けなければならないと考え、メロスに自分を殴らせた。また、ディオニスはメロスとセリヌンティウスが、一度は互いを疑いながらも最後まで相手を信じぬいたことに感銘を受け、彼らの深い信頼関係を認めた。したがって、群衆からの支持や賞賛をディオニスは得たと考える。

私は彼らの殴り合うという行動が、人間どうしの信頼関係の本質を伝えるものだと考える。その理由は主として2つある。第一の理由は、人が人を疑うことを認めながら、そのうえでさらに他者に信頼を置いているからだ。ただ単に他者を信頼していると言うのは、他者の内面や他者が裏切る可能性を考慮しない点でむしろ他者に無関心な態度だと考える。それは表層的な人間関係である。したがって、他者が自分を疑うことをも含めて相手を信じることが信頼関係の本質だと考える。第二の理由は、そうした深い信頼関係がディオニスのような第三者の立場からも認められるからだ。メロスとセリヌンティウスの深い信頼関係は、単にメロスが3日で戻る約束を果たし、セリヌンティウスが約束を信じぬいた点にあるわけではない。そうではなくて、彼らが相互に相手を疑った事実を告白し、殴り合ったという目に見える行動として信頼関係が確認できる。そこには、彼らのお互いに対する誠実さがある。この誠実さを他者からも確認できる点が、人間どうしの深い信頼関係の本質だと考えられるからである。(794字)

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