2013 北里大学 看護学部 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


筆者は、何かを人に伝えるためには自分自身が「しっかり理解すること」が重要だと主張する。なぜなら、自分が理解していなければ、相手に伝わることがないからだ。以上の筆者の主張の中では、何を「しっかり理解する」のかという理解の対象が述べられていない。筆者は、日銀に関する小学生たちとのやりとりのなかで、この理解の対象を示唆しているように思う。それでは、人に伝えるためには、何を「しっかり理解する」ことが重要なのだろうか。
 私は、理解の対象を言葉の意味や概念だと考える。さらに、「しっかり理解すること」とは、他者に対して言葉の意味や概念を「きちんと表現や説明ができること」だと考える。課題文において、小学生たちは日銀についての筆者の説明に対して、個々の言葉の意味の段階における問いを発する。これに答えるには、当然、言葉の意味や概念を理解している必要があるからだ。それでは、言葉の意味や概念を理解するにはどうしたらよいだろうか。そのためには、他者が説明に用いる言葉や概念をまずは知ることが必要だ。つまり、他者がその言葉をどのような意味で用いているのか確認する必要がある。これは、本を読んだり、人の話を聞いたりすることで確認できる。次に、自分が理解したと思う意味や概念を今度は他者に対して、表現し、説明してみる。なぜなら、言葉の意味や概念について自分の理解が正しいのかは、他者とのやり取りにおいて確認できるからだ。
 以上のような言葉の意味や概念の理解の過程を踏まえると、表現と理解とは即応する事柄であることがわかる。というのも、理解していなければ表現はできないし、反対に表現することができるのは理解しているからだ。したがって、人に伝えるためには言葉の意味や概念を理解し、理解と表現が即応するものである以上、今度は他者に対して自分の理解を表現していくことが重要だと考える。(776字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?