2015 京都府立大学 公共政策学部 推薦入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


問一

「市民の意思で行政を動かし市民の責任で地域をつくる」(24字)


問二

主権者である市民が行政の権限や財源をコントロールすることが、地方分権の目的である。その際、行政権限を国から自治体へ移すことが分権である。しかし、分権のあり方は権限の「移譲」であり、「委譲」であってはならない。というのも、「委譲」というのは、上位者が下位者に委ねることを意味し、中央政府が地方の実態を知らずに上から政策を全国一律で実施するのではなく、市民の意思にもとづいて分権のあり方を決定することが権限の「移譲」だからだ。したがって、「移譲」された権限によって市民の意思にもとづいて自治体を運営する仕組みが必要である。そのためには、市民も自治体の運営に責任を負いながら、市民自治を行う必要がある。(298字)

図1から、身代金目的誘拐、人質をとっての立てこもり、虐待による児童殺人などをはじめとする年間発生件数の低い犯罪については、対角線よりも上側に位置し、認知件数の推定値のほうが統計的認知件数よりも上回っていることがわかる。これに対して、窃盗、空き巣、傷害といった年間発生件数の高い財産犯罪は、対角線の下に位置しており、統計的認知件数よりも、その推定値のほうが小さくなっていることがわかる。図2を見ると、全体的にほぼ対角線に沿って各種犯罪が位置している。すなわち、警察官による認知件数推定値は、かなり統計的な認知件数に一致していると言える。したがって、大学生は認知件数の低い犯罪に対して過大に認知件数を推定し、認知件数の高い犯罪に対しては過少に件数を推定している。一方、警察官はほぼ統計的な認知件数に沿った認知件数推定を行っていると言える。以上より、一般の人々は高頻度で発生する財産犯罪について、発生件数を低く見積もる傾向があることがわかる。それゆえ、これらのカテゴリーにある犯罪に対して十分に備えるよう、具体的な対処方法を含めていっそうアピールする必要があると言える。(482字)

問一

日本の安全保障は国民全体の便益にかかわるものでありながら、我が国は、安全保障政策を担う大規模な米軍基地を沖縄に置くことで生じる、土地利用の制限などの負担を沖縄にのみ負わせている。他方で、原発の利益を享受してきた日本国民が放射性廃棄物の処理について福島県にのみ負担を負わせることにおいて、全体が担うべき負担を一部の県や地域に負わせる点で沖縄と同様の構造を持っているということを傍線部は述べている。

問ニ

田坂広志氏は、すべての都道府県が、原発でつくられた電力を消費した量に応じて核廃棄物を受けいれるべきだという提案をしている。これに対して筆者は、一般ごみの処理問題を自治体間の協力で解消しようとする事例を挙げ、放射性廃棄物処理の負担を各自治体が負うべきとの考え方に一定の理解を示す。しかし筆者は、放射性廃棄物は国民が一般に目にすることがないという意味で「見えないごみ」であり、一般ごみとは危険性がまったく異なる点を挙げ、その処理を負担することの難しさを説明している。それでは、福島に代表される放射性廃棄物処理負担の問題に対して、我々はどのように向き合うべきだろうか。

まず、国民が原子力の恩恵にあずかってきたという事実にもとづき、放射性廃棄物処理の負担を担うべき当事者であることを自覚する必要があると考える。というのも、核のごみの負担を福島にのみ負わせることは、不当であるからだ。そのためには、放射性廃棄物についての理解を深め、どのようにしたらより安全に処理することができるのかについて各自治体、市民が関心を持ち、核のごみから目を背けないようにすることが肝要だと考える。したがって、各都道府県において市民によるタウンミーティングなどを通じて、専門家を交えた放射性廃棄物処理についての意見交換を行い、処理問題について市民の合意を形成していく取り組みが必要だと考える。

(579字)


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