2018 埼玉県立大学 推薦入試 小論文 模範解答 (本文全訳付き)

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2018埼玉県立大学 推薦入試 小論文模範解答


問題1
(1)イ (2)キ (3)ア (4)エ (5)カ (6)ク


問題2
75歳以上の運転手は、免許更新の際に、認知機能の検査を受けることが義務付けられている。本文では、認知機能が低下していることが見つかった高齢者に対して訓練を実施することによって、注意力や判断能力を含む、彼らの安全運転の技術が著しく改善されたことが述べられている。さらに、こうした訓練の効果は、訓練を受けたあとも持続することも明らかである。近年、高齢者による交通事故が多発している。したがって、まずは、高齢者特有の事情である運動能力や判断力の低下について、高齢者自身に正しい認識を持ってもらう取り組みが必要であると考える。そのために、自治体が実施する健康診断などを通じて、高齢者がみずからの身体機能の変化を自覚する機会を増やすべきである。行政はこうした取り組みを促進するために、広報や講習会を活用し、高齢者の参加を促すことで、高齢者の安全な自動車運転を実現する努力を行うべきだと考える。(390字)

―本文全訳―
政府調査機関と自動車学校は、高齢者の安全運転の能力を改善し、高齢者によって引き起こされうる事故を防止するために、高齢者向けの訓練カリキュラムを開発した。
 諸機関が、認知機能が低下していることが見つかった高齢者に対して、試験的に訓練を実施し、その結果は、注意力や判断能力を含む、彼らの安全運転の技術が著しく改善されたことを示した。訓練の効果は、一年後にもまだ見られた。
愛知県大府市にある国営の研究機関である、国立長寿医療研究センターは、この訓練のカリキュラムの開発を主導してきた。センターは、免許更新の際に訓練を行うことによって、このカリキュラムを実践するために、他の関係機関に対して協力を要請するつもりである。
 カリキュラムは主に、シミュレーションと運転実習を含んでいる。参加者は、設備や器具を用いて訓練を行い、危険予測能力や、動体視力について再訓練を行った。また、参加者は自動車学校で実際の運転教習も行った。
 (以上のような)二つの段階のそれぞれにおいて、参加者は全10回の講習のあいだに、一週間に50分の訓練を受ける。
 実際の運転教習では、運転手が右折する際にかかる時間などの行動が測定されるため、高齢者の参加者は、老化の影響のせいで、以前よりも彼らの運動の各々に時間がかかることを確認することができる。
 名古屋の公認緑が丘自動車学校は、訓練の将来を評価して、「私たちは、参加者が、交通規則やオートマチック車の特徴についての知識を新たにしてもらい、彼らの体の衰えについて気がついてもらえるように役立つことを目指しています。」と言う。
 カリキュラムの効果を調査するために、65歳から88歳までの人々(よく車を運転し、認知機能が衰えてしまっていることが見つかっているけれども、認知症にはなっていない)が、国立長寿医療研究センターと検査に協力する他の医療機関によって、健康診断がなされた。
 彼らは、カリキュラムにそって訓練を受けた70人からなる一つのグループと、そうした訓練を受けなかった76人の別なグループに分けられた。
 2015年4月に開始し、センターと自動車学校は参加者に一人ひとり訓練を受けてもらった。1トレーニング講習の直後、さらにその一年後、参加者の技能が試験され、主に、右折や左折の際や車線変更の際になされる判断や、彼らが必要な時に安全確認をしているかどうかという点について試験がなされた。
 その結果は、訓練を受けた参加者のすべてが以後も高い得点を記録したことを示している。平均で、彼らの得点は74%まで上昇した。そのうちの20人について追跡調査が行われた。さらに一年後、彼らの試験の得点は、訓練前の得点よりも、平均で60%より高いままであった。
 訓練を受けなかった76人の他方の参加者の得点は、1年後には平均の12%落ちた。
 訓練を受けた大府市の69歳の男性は、以下のように述べている。「周辺視野や他の能力も、若いころ以来、随分変わってしまった。私は、買い物や日用品の買い出しに車を運転する必要があるので、私は説明されたポイントについて意識する必要があります。」
 老年学・社会科学研究センター長の島田裕之氏は、以下のように述べている。「危険がある場合には、高齢者は運転免許を返還しなければなりませんが、運転をやめることは、人の日常生活に大きく影響します。私たちは、高齢者が安全に車を運転することできるように、このカリキュラムをできるだけはやく実施したいと思っています。」
 75歳以上の運転手は、免許更新の際に、認知機能の検査を受けることが義務付けられている。
 2015年には163万人の人々がこの検査を受けた。そのうちの3分の2の人々は問題はなかったものの、およそ5万人の人々が認知症を患っているかもしれないと判断され、約50万人のひとびとは、認知機能が衰えていると言われた。
 警察庁によれば、2015年には75歳以上の運転手によって引き起こされた致命的な交通事故は、458件にのぼった。これらの運転手の40%は、免許更新の際に、認知機能が衰えているという結果を受け取っていた。



問題1
(エ)


問題2
日本人学生の海外留学を阻害する要因として、卒業の時期が遅れる可能性があることと、海外で履修したコースの単位が、日本の所属大学で必ずしも認定されないことが挙げられている。卒業時期が留学によって遅れるのは、海外で履修したコースの単位が日本の所属大学で認定されないため、新たに日本において必要な単位を取得するのに余計に時間がかかるためだと考える。したがって、日本政府は、文部科学省などを通じて、国内の大学において留学先の大学の単位認定を行う要件を定め、留学後も日本における通常の在学期間にて学生が卒業できるよう、単位認定の制度を整備するべきだと考える。(273字)


―本文全訳―
 日本人学生が留学に出ることを妨げている要因
課題
現代の大学生は、従来に比べ「内向き志向」が強くなっているのではないかとの議論が日本で広がっている。日本青少年研究所による2012年の意識調査の結果が、この議論に火を点けるきっかけのひとつとなった。調査に参加した日本の高校生のうち、「留学したい」と回答した学生の割合は日本ではわずか46%だったのに対し、米国では53%、中国では58%、韓国では82%に上っていた。

その他の報告書
ところが、ブリティッシュ・カウンシルが日本人大学生を対象に行った2014年の留学に関する調査の結果は、日本人学生が「内向き志向」であるとの見解に反するものだった。ブリティッシュ・カウンシルは実施したその他の調査の結果に基づいて、日本人学生の間で留学に関心のある層が占める割合は、英国および米国における割合(いずれも約50%)と同等か、それ以上であることを発見した。

それでも、最近の留学生数の減少を見ると、懸念を抱かざるを得ない。海外で勉強する日本人留学生数は2004年には8万2945人だったのが、2012年には6万138人まで減少した。この減少をもたらした要因は少なくとも2つある。2008年の経済危機によって世帯当たりの平均収入が減少したことと、そして日本の高等教育機関への進学率の増分の多くが家族初の大学進学者となった学生で占められていることである。これらの学生は従来の大学進学者に比べて留学に気後れする傾向がある。

ブリティッシュ・カウンシルの調査でも、2009年に経済産業省が行った調査でも、同様の要因が日本人の海外留学を阻んでいることが明らかになった。それらの中で、最も重要な要因として挙げられているものは以下の通りである。

・語学力に自信がない
・費用
・留学先の治安が心配
・海外大学のコースの難度に対する不安
・帰国後の求職活動に悪影響が出る可能性
・海外で人とうまく交流できるか心配

学生たちからは、日本での生活は非常に快適で、大学の質も高いから安心しているという意見も聞かれた。
過去に実施した調査では、他にも以下のものが阻害要因として挙がっている(ただし、これらの要因はブリティッシュ・カウンシルの調査では上位にランクされていなかった)。

・卒業の時期が遅れる可能性がある
・所属大学で必要なだけの支援が受けられない
・海外で履修したコースの単位が、日本の所属大学で必ずしも認定されない
・3年次の後期の就活解禁から4年次の最後まで続く日本企業の採用プロセスの妨げとなる

解決策
日本人学生の留学参加率に、まだ伸びしろがあることは間違いない。また、これが実現すると思えるだけの楽観的な兆候もある。近年、海外で学ぶ日本人留学生数が減少しているにもかかわらず、現在の留学生数は20年前に比べると50%増になっている。

この人数をさらに増やすためにはどうすればよいかを知るためには、日本人学生の留学の動機と留学期間に生じた変化と、新しいタイプの留学生のニーズを理解する必要がある。これらの変化によって、日本は留学の新時代を迎えつつある。これからの時代には、機関間のパートナーシップがとりわけ重要な役割を果たすようになる。

ブリティッシュ・カウンシルの調査結果も、経済産業省の調査結果も、このような時代の到来を示唆するものである。現在、海外留学する学生のうち、正式な学位取得を目指す人はわずか5%程度である。最も人気が高いのは短期留学で、留学生の半分以上が3カ月以下の滞在となっている。学生たちの回答には、所属大学がパートナーシップを締結している機関がどの国にあるかが、留学先を選ぶ重要な要因であるとのコメントも見られた。.

学生が留学する理由として挙げた動機の上位4位は次の通りである(回答数が最も多かった動機を最上位としている)。

・語学力を伸ばすため
・海外に行きたいから
・留学を国際的なキャリアの出発点にするため
・友人、家族、教授に勧められたから

将来、留学したいと回答した学生の間で最も人気の高かった留学先として、引き続き米国が挙がっていた。ただし、実際の学生交流のデータを見ると、多くの学生がこの希望を達成できていない。
さらに、ブリティッシュ・カウンシルによる留学に関する調査は、留学経験のある日本人学生のほうが、留学したことのない学生に比べ自分自身と日本という国の将来に対し、はるかに楽観的な考えを持っていることを明らかにしている。

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