2017年度 北里大学 看護学部 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 筆者は、植物社会のあり方と人間社会のあり方は同様のものであり、植物社会が示す「競争・我慢・共生」のルールは、人間を含めたすべての生物が生き抜くための基本的かつ本質的な掟であると述べる。したがって、人間社会は、競争関係だけでは成立しないと言われる。実際に、グローバル化の進展や、競争原理にもとづいた資本主義のもたらす構造が、社会の中に格差や貧困に加えて人々の分断をもたらしている現実がある。世界において格差や貧困の問題があることが人々に認識されているものの、それらを解消する根本的な解決策が未だ見出されていないからだ。
 それでは、様々な種が共に生きる植物のように、多様な人々が共に生きることができる社会を作っていくには、私たちに何が求められているだろうか。私は、他者に対する理解や配慮を持つことが不可欠だと考える。なぜなら、競争関係においては、他者は自分が打ち負かすべき敵やライバルでしかなくなり、他者を思いやったり、他者に向き合う姿勢や観点を持つことができないからだ。それゆえ、筆者も競争関係だけでは人間社会は成立しないと述べているのだと考える。したがって、他者に対する理解や配慮を持つためにも、他者に対する想像力が必要だと言える。なぜなら、人々はそれぞれが様々な境遇や状況にあり、生まれや育ち、年齢や世代、抱える悩みや困難も異なる存在であり、乗り越えがたい差異を持つ異質な他者であると考えるからだ。それゆえ、他者に対する想像力を発揮するためには、自分にとっての異質な他者のあり方を一定の解釈や見方によって決めつけるのではなく、一人の人間としていかにして「その人」を理解していくのかについて考える必要があると言える。以上より、私たちには、多様な他者に出会い、「その人」をその都度理解しようとするコミュニケーションを図りながら、彼らの声に真摯に耳を傾けることが求められると考える。(788字)

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