2019年度 北里大学 看護学部 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 筆者は、読書の意義を認められない大学生に対して、読書の必要性をどのように考えようと自由であると述べている。その一方で、読書の魅力を挙げながら、現代において深い考えから発せられた言葉に触れる機会が減ったことを指摘し、その原因が現代人の読書時間が減ってきていることにある点を示唆している。私は以上のような筆者の主張に賛成である。というのも、私たちが語る言葉は、本を読むことをとおして身につき、洗練されていくと考えるからだ。
 たとえば、私は歴史小説が好きであり、これまでも私たちの生きる時代とは異なる時代を舞台とした本を読んできた。そこには、私たちの時代にはない物や概念、考え方があり、より直接的には本を読んでいるなかで、知らない言葉も多数出てくる。そうした言葉に出くわすと、私は辞書を引いて意味を確認し、このような言葉があるのかと驚くこともあった。
 このように本をとおして新たな言葉を獲得することは、私の表現もその分だけ豊かになることだと考える。というのも、ある事態を適切に示す言葉があることを知ることによって、それまでの表現に加えて新たな表現が増すからだ。したがって、新たな言葉を本から得ることは、世界を分節し、いっそう細密に世界を見ることにつながると考える。なぜなら、その言葉を知ることがなかったら、その言葉が指すものやことを概念として持つことができないからだ。それゆえ、新たな言葉を得ることは、世界をより細密に分節し、いわば世界の解像度を上げることだと言える。以上より、本を読むことによって言葉を獲得し、世界をより詳しく見ることができるようになれば、筆者の述べているとおり、深い洞察にもとづいた言葉を発することができるようにもなるだろう。そのためにも、読書をとおして新たな言葉を獲得していくことが重要だと考える。(755字)

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