2017 茨城大学 教育学部 小論文C 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


問1:(185字)
筆者は、学校というものを二つの点で多様でないものと捉えている。第一に、学校は多くの家、さまざまな店、工場や駅といった多様な空間からなる子どもたちの生活領域のなかのひとつの場所でしかない。第二に、地域社会の多様な人間関係が交錯する豊かな空間とは異なり、学校は児童または生徒と呼ばれる同質的な人たちと、先生と呼ばれる人たちとの単一で固定的な関係を主とする画一的な空間である。


問2:(581字)
子どもが学校教育において社会力を身に着けるために必要な取り組みについて、私は、社会力そのものよりはむしろ、子どもの社会力習得の前提となる能力の育成が重要だと考える。
まず社会力とは、多様な他者との関わりのなかでみずからの考えや感情を相手に伝え、また相手の考えや感情を理解し、共同して事に当たる能力であると考えられる。こうした能力を養うにあたっては、自分の考えを明確にするための概念や、他者の考えを理解するための背景知識等の習得が重要である。概念や知識というツールを十分に備えてこそ、お互いの考えを正確に伝えあうことができる。
たしかに、子どもは学校において同質的な人たちと交流することが多く、その点で多様性に欠けていると言える。しかし、だからといって、たとえば学校教育のなかでさまざまな職業の人たちの話を聞かせたり、班活動、委員会活動、部活動などでさまざまな役割を経験させたりしても、そうした経験を適切に受容し整理する概念や知識が子どもたちの側で欠けていれば、多様性を理解したり、社会力を高めたりすることにはつながりにくい。
したがって、学校教育では子どもに概念や知識を習得させることに主眼を置き、子どもがそれを応用し社会力を高めることは地域社会においておこなうというように、子どもの社会力習得に関する役割を分割したうえで、学校と地域社会との連携を図るべきだと考える。

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