2016 聖路加国際大学 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


富良野塾の塾生と渋谷の若者とでかけはなれた回答になったのはなぜだろうか。私は、課題文のような回答の差異が生じた理由は、大きく二つあると考える。
 第一の理由は、富良野と渋谷との生活環境の違いである。北海道の自然にあふれた富良野市の谷あいには、近くにスーパーやコンビニなどはないことは想像に難くない。したがって、その環境ゆえに、生きることが最優先事項になり、生存に寄与するものが必需品となる。他方、渋谷は若者にとって遊ぶことが目的となる街である。それゆえ、持ち物も遊ぶために必要なものが必需品となる。以上より、生活環境によって生活必需品となるものが異なるため、回答に差異が生じたと考える。
 第二の理由は、富良野塾の塾生と渋谷の若者との目的の違いである。渋谷の若者は遊ぶことを目的とするのに対し、富良野塾の塾生は、芝居の勉強をするという目的を持っている。渋谷の若者が挙げる生活必需品は、その目的に適った合理的なものである。渋谷で遊ぶために水や火やナイフ等は一切役に立たないだろう。一方、富良野塾の塾生たちは芝居の勉強をすることだけに特化した環境を得るべく、富良野の谷あいに身をおく。そこでは、生きることと芝居を学ぶために必要なもののみが彼らの回答において選択されている。芝居の勉強するためには、金やケイタイやテレビは不要だろう。以上のように、目的によって必須とされる持ち物が変わると考える。
 ここまでの議論から、私は何かをする目的を持ったならば、まず環境を整えることが重要だと考える。なぜなら、課題文のように環境の違いによって、必須となる持ち物や行動の仕方も変わってくるからだ。何かの目的を果たすためには、自分の意志もたしかに重要だ。しかし、それに加えて、自分がその目的を果たさざるをえない環境を自ら整えることも、自分の目標や目的を果たすために必要だと思う。

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