2018年度 慶応女子高校 作文問題 模範解答


オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 この詩においては、目標や夢を持って生きることや、生きることそのものの喜び、熱い心を持つことの賛歌が謳われている一方で、生きることには「胸の傷のいたみ」が伴うことが示唆されている。生きることにおいて、「胸の傷がいたむ」ということはどういうことだろうか。
 私は他者の不遇な状況やあり方を受け止め、いわば他者の痛みに共感することが「胸の傷がいたむ」ことだと考える。というのも、この世界の中で生きることは、辛いことや悲しいこともたくさんあり、他者の痛みや苦しみを分かち合うことが必要だと考えるからだ。たとえば、誰かが苦しんだり、困っていたりしていれば、その点に共感し、手を差し伸べることが人としてのあり方である。
 したがって、私たちが人として生きるなかでは、他者への配慮が必要になる。その際に重要なことは、他者への共感であると考える。というのも、他者の痛みや苦しみそのものを私自身が得ることは原理的にできないけれども、その痛みや苦しみを想像し、共感することは可能であり、こうした共感によって人と人とはつながることができると考えるからだ。そして、他者の痛みや苦しみに真に共感を得ることは、私自身の胸が痛むことに他ならない。以上より、この詩は生きることをただ讃えるのではなく、生きることには他者の痛みや苦しみへの共感があることが「胸の傷のいたみ」として示唆されているのだと考える。
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